「先生、遺言書がでてきました」
被相続人が住んでいた自宅を訪問し自己紹介を終えると、相続人の一人である妹から封筒を渡されました。『遺言書』と書かれた封筒は、すでに開封されていました。
「拝見してもよろしいですか?」と尋ね、中から5枚位の便箋を取り出しました。
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姉Aへ
優しいご主人と2人の子を育て、その子たちも結婚し子供が生まれ、日々幸せに暮らす様子をみて、本当にうれしく思っています。
妹Bへ
結婚には恵まれませんでしたが、私と一緒に暮らし、ずっと面倒を見てくれて、本当に感謝しています。
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相続人である娘2人に対し、それぞれ便箋2枚ほどに感謝の言葉がしたためられていました。それは『遺言書』という、母から娘2人への愛情がこもったラストメッセージでした。読み進むと、お母さまの深い愛情が伝わってきて、私は思わず涙がこぼれそうになりました・・・。
そして最後の1枚には『財産について』と書いてありました。
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私が妹のBと過ごした不動産については、妹Bに引き継いでほしい。その他の財産については、1/2ずつ分けてほしい。遺産分割については、妹Bの取り分が多くなりますが、姉Aにはご主人の家があるので、どうか理解してください。私の死後も今までと同じように、姉妹で力を合わせて仲良く暮らしてください。
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被相続人は、90歳を超える母で、相続人は60代の姉妹2人。相続財産は、母と妹が暮らしていた土地建物6,000万円と現預金4,000万円で合計1億円。
母の遺言どおりに財産を分けると、妹が8,000万円(土地建物6,000万円+現預金4,000万円×1/2)、姉が2,000万円(現預金4,000万円×1/2)となります。
万一、姉が遺言に納得いかない場合には、遺留分が認められているので、法定相続分1/2の1/2、つまり2,500万円(1億円×1/4)までは、取り戻すことができます。
(1-2につづく)
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