怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記㉘ 宰相の器

安倍総理が辞任表明した。

「まさか!」。「うそ!」。「青天の霹靂」と難しい言葉を使う人もあった。「我こそは後任にふさわしい」と与党自民党内で何人もが手を挙げるようだ。問題は、そうした方々が、ご自身に職責を果たせる自信と能力があると自問していらっしゃるのかなということだ。要は内外からの脅しに屈しない胆力である。

 総理(内閣総理大臣)は国家、国民の命運を担う司令塔であり、難局で判断を間違えれば民族ごと滅ぼしかねない。判断基準がふらつき右顧左眄するような人物では、国民の生命、財産は危ういのである。

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国運が隆盛の時の総理は、権力を無用行使しないよう昼行燈くらいでよい。非常事態に政治家、官僚、経営者、国民が取り乱して右往左往するときこそ、総理の権限が意味を持つ。一億余の民にこれしか進む道はないと総理が判断すれば、抵抗する閣僚の首を切り(憲法68条)、衆議院の解散(7条、69条)で国民の信を確認する。

今のわが国は成り行きに任せておけばよい平常時なのか。これはボクたち一般国民が判断することだ。平穏な時期であれば、国民生活に余計な口出しをしない「民にお任せタイプ」の人が望ましい。しかし存亡の危機のリーダーは、気配り、利益誘導、勢力均衡にはいっさい縁のない「孤高信念型」でないと、国民の団結を確保できず、内部から崩壊する。衰亡国家の歴史から学べることである。

年金や医療など社会保障の次世代継承。拉致同胞の奪還。占拠された領土・領海の回復。歴史歪曲への国際社会を巻き込む対抗策、地域活性化、子育てが楽しい社会への改造…。そしてすべての基盤になる政府財政健全化。非常時型総理の出番だろう。

血肉を分けた孫たちがこの地に生き続けられること。ボクの終活テーマである。

喜多村悦史

2020年08月31日