相続診断士が伝える“笑顔相続のススメ”

「第二回 相続とは、親の生き方を受け継ぐこと(1-2)」

 (1-1)からのつづき
お母さまからの遺言書には、財産の取り分と付言事項の記載があった。

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・妹が8,000万円(土地建物6,000万円+現預金4,000万円×1/2)、
・姉が2,000万円(現預金4,000万円×1/2)
 
私が妹のBと過ごした不動産については、妹Bに引き継いでほしい。その他の財産については、1/2ずつ分けてほしい。遺産分割については、妹Bの取り分が多くなりますが、姉Aにはご主人の家があるので、どうか理解してください。私の死後も今までと同じように、姉妹で力を合わせて仲良く暮らしてください。
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万一、姉が遺言に納得いかない場合には、遺留分が認められているので、法定相続分1/2の1/2、つまり2,500万円(1億円×1/4)までは、取り戻すことができる。
 
 私は、姉妹に遺留分のことを説明し、遺産分割は相続人間で合意すれば、遺言どおりではない分割も可能であることを伝え、2人で話し合っていただくようにお願いしました。
 
 2週間後に2人の出した結論は「お母さんの望むとおりの遺産分割をお願いします」というものでした。
 
 2人の結論を聞いて、ホッとすると同時に、お母さまの喜ぶ顔が目に浮かびました。この事案から、相続というのは「親の遺志を継ぐこと」であることを学びました。
 
 相続というと財産を分けることだけのように錯覚しがちですが、本来は「親の行き方を受け継ぐこと」です。このお母さまは、本当に2人の娘を愛し、大切に育てたのだと思います。娘2人は、相続を通じて家族を大切にするというお母さまの遺志を見事に引き継ぎました。
 
 しばらくして、相続で取得した古い建物を建て替えたいという相談がありました。
 
 いろいろ検討した結果、1階が自宅、2階3階をアパート賃貸併用住宅に建て替えることになりました。
 
 建替えの計画中、2階に姉の子である甥の家族が住むことになり、時に甥の子の面倒も見て、妹は一人で淋しくなることもなく安心して暮らせるようになりました。
 
 この相続をきっかけに、私は、『笑顔相続』を真剣に日本中に広めていこうと決心しました。

 

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■相続診断士とは

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■第9回笑顔相続シンポジウム 講演動画

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2022/12/1に開催したシンポジウムをURLからご覧頂けます


 

2023年03月15日