怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記173 わたしと年金エッセイ

日本年金機構が募集している「わたしと年金」エッセイの受賞作品が公表されている。本年度は942件の応募があり(意外と少ない)、10人が受賞した。 

令和2年度「わたしと年金」エッセイ審査結果について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

入賞作品は共通して障害年金や遺族年金を題材とし、それらを受給することができて生活を維持できて助かった。国民の皆さんもいざというときに、こうした年金が受給できるよう加入手続きや保険料納付をきっちりしておこうというものだ。

年金制度の知識普及というコンテストの趣旨にぴったりなのではあるが、なにかもう一つ物足りない思いを避けられない。

 

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最優秀作品の要旨の内容をかいつまむと、受賞者(男性31歳)は大学の部活動中の事故で右足切断の障害者になった。年金は老後に受け取るもの程度の知識しか持ち合わせていなかったが、母親が成り代わって加入と保険料の学生納付特例の手続きをしてくれていたので、幸いにも障害基礎年金受給者になることができた。

自分は市役所で年金担当の仕事に就いているとしたうえで、「老後の年金だけでなく、予期せぬ事故後の生活を助ける障害年金や、大切な人を失われた遺族の生活を保障する遺族年金など、公的年金制度の大切さについて、少しでも多くの人に伝えていくことが事故後の生活を公的年金制度に助けられた私の大切な使命であると思っている」と結ぶ。

物足りないのは、20歳当時学生だった時点では障害年金について考えているはずがなく、母親が手続きをしてくれていたことを当然視しているように受け取れることだ。そして現在の若者の間にも加入と険料納付の義務が知られていないことへの問題意識が薄いことである。

年金相談では「早く教えてくれれば」とか「役所から年金の案内をされたことがない」とか「障害年金の制度自体を知らなかった」と言われると述べている。公的年金加入気味が制度創設60年後にも行き渡っていないことを認識しながら、年金担当職員としての切迫感がない。加入は法律に基づく義務なのに、それを知らずで当然という風潮を正すことが求められている。

成人式で彼のボスである市長は、大人の心得として、酒やたばこには触れるだろう。では国民年金加入義務を説き、未加入の者には式への参加をさせない市町村がどれほどあるのだろう。管轄下の中学校長を集め、5年前の卒業生に国民年金加入状況アンケートを実施させたところはどうか。

20歳での全員加入を実現するためには何でもやる。そうした気迫がうかがわれないのが物足りないのである。

顧問 喜多村悦史

2021年01月18日

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