怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記 218台湾産パイナップルを食べよう

「エゲツナイ」。倫理にもとり、普通の精神の持ち主ではできない類の行動をいう関西表現である。

 中国が台湾産パイナップルの輸入を突然停止した(31日)。検疫で害虫を発見したのが理由だとか。それを信じる者はまずいないだろう。台湾の無血占領を目論む中国共産党の台湾人への脅しである。「収穫したパイナップルを腐らせたくなかったら、台湾人は中国共産党による支配を受け入れよ」というわけだ。

 台湾パイナップルの輸出量は4.6万トン。輸出の9割以上が中国向けだった。この経済的脅迫で台湾人はただちに降参するだろうと習近平氏が思ったかどうかは定かではないが、台湾の蔡英文総統は「政治的嫌がらせで受け入れられない」と当然の反発。

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このあたりは尖閣で巡視船に体当たり攻撃した中国漁船を無罪放免してしまうかつての民主党政権(管(かん)直人総理)を思い出すだけでもいまいましい。専制国による脅しに屈するのでは民主主義体制を名乗る資格はないことを改めて思い出させる。

台湾政府はただちに「政治的圧力には屈しない」、「パイナップルを食べて農家を助けよう」と市民に呼びかけ、37億円の政府資金を投じて販路拡大の支援策を始めた。日本人も呼応し、「台南市でラーメン店を経営する日本人、野崎孝男さん(46)らは東日本大震災が起きた2011年の311日にちなんで3110個(約6トン)のパイナップルを購入した」(台湾自由時報紙)とか。ラーメン注文客にプレゼントするそうだ。

果物ナビ(世界のパイナップルの産地 ランキング (kudamononavi.com))によると、台湾のパイナップル生産高は43.1万トン(世界18位)とのこと。中国への輸出はその1割だったことになる。日本への輸出量は0.3万トンに満たなかったが、今年は0.5万トンにしたいのが台湾の希望。日本の国内生産量は沖縄県石垣島などの0.6万トンで、15.8万トンを輸入しているから、輸入先を台湾に集中すれば、中国の輸入停止分の4.6万トンを即座に楽々カバーできる計算だ。

ちなみに世界NO.1生産国は中米のコスタリカの333万トンだとか。これまでの日本の輸入先はどうなっているのか。輸送費用面では台湾に軍配が上がるはず。中国の恫喝に負けないために、日本もパイナップル輸入先国選定で政治力を発揮すべきだろう。

ただしその場合には互恵主義の主張が必要だ。福島県など5県(茨城、栃木、群馬、千葉)の食品について中国、韓国などは住民感情を理由に輸入禁止措置を続けている。科学的根拠はなく、政治的嫌がらせである。中韓の民意が政府主導によることは周知のことだ。

これにあろうことか台湾も同調しているのだ。

日本政府は30年に農林水産品の輸出額を今の5倍以上の5兆円に増やす目標を掲げるが、その最大障壁が近隣国による福島産品等の輸入規制。これら県域の物が混在していないことを証明するというバカなことが続けられ、物心両面での障害になっている。台湾では解除しようとしたのだが、台湾内の親中政治勢力の抵抗で延び延びなっている。蔡政権としては輸入禁止を解除したいのだから、日本がパイナップル輸入先を台湾優先にすることとの取引を持ちかければ即座に合意になり、台湾国民の愛国心向上と日本との友好強化につながるはずだ。

国会論戦で取り上げるにふさわしい議題と思うが、立憲民主党の枝野幸男党首はどう考えているのだろう。マスコミは取材してくれませんかね。

顧問 喜多村悦史

2021年03月09日