
怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~
地下鉄に乗った。
立って片手でスマホを操るほど器用ではない身のことであり、
中吊り広告を眺めていたら「メトロ文学」が目に入った。
(作者名をメモしなかった。ごめんなさい。)
-夏休みがお盆の時期に集中するのは、きっとこの国が死者を敬う国だから
この時期だけは日常でせわしない手を休めて、お世話になった人たちにしずかに手をわせる
帰省時機、帰省ラッシュは、日本のうつくしい光景、それは星になった者たちに会いにゆく人々の列-
8月15日は旧盆。ふるさとに寄生する人の群れで、新幹線は大混雑、高速道路は数珠つなぎになるのが恒例であった。風物詩と言ってよい。暦の上ではただの土曜日だが、この日の前後の数日間、多くの企業は独自に休日を設定し、あるいは計画年休として有給休暇をいっせい行使する。
だが今年は、コロナで伝統が一瞬で消えてしまった。東京でも町内会の盆踊りが消え、深川の山車巡行(水かけ祭り)も中止である。果たしてそれでいいのだろうか。
代わりに目立つのが、「感染を防ぎ、命を守れ」、「事業の休止による売上減を政府が補填せよ」といった声高要求。政府も世論に振り回されて方向が定まらない。政府不信と国力の衰亡だけは着実に進行している。
8月15日は300万人もの命を失った大戦争の終戦記念の日でもある。だがその総括も国民合意で出来ているとは言い難い。せめてこの日は、全ての国民が心静かに”生と死の意味“を自省する日にできないものだろうか。
2020年08月18日