怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記104 根付くか出前タクシー

コロナで人気が高まる出前タクシー

 新婚でまだ子どももいなかった頃の話。家内の実家に行くと義父と義兄がマージャンに誘う。それではメンツが足りないので、お隣におじいさんに声をかける。その人は根っからのかけ事好きで、すぐに飛んでくる。

 ついでに言えば、この人物は近くにあったハンセン病療養所に嘱託のような形で勤めていいて「厚生省の先輩ですね」と持ち上げると危険牌を切ってくれるのだ。

 興じてくると出前を取ろうとなるが、お店は人出不足で配達をいやがる。するとこの老人はタクシー会社に電話して、出前代行を頼むのだ。

 「タクシーは人を運搬するのが業務であり、物品運送は禁じられている」ので、到着したタクシーから出前料理を受け取り、運転手に心ばかりの「キャンセル料」を支払う。

 「こうしておかないと違法なのだ」そうで、杓子定規の行政運用に思えた。当時、運輸省勤務の友人に訪ねたら、ダメなものはダメと一蹴された覚えがある。

 

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合法化はあくまでコロナ禍の緊急措置

 それがコロナ騒ぎをきっかけに合法化されているようだ。外移自粛で出前ニーズが高まる中、「タクシーによる貨物運送を許さない」岩盤規制が各地で緩和されている。

 北九州市のタクシー会社では店から手数料(2キロまで800円等)をもらうことで当局の許可を得た。ただしあくまでもコロナでの緊急措置というのが行政の考えだとか。

 運送業許可では、人と物品輸送が区別され、トラックが人を運ぶことも禁止されている。これも新婚の頃、引っ越しの応援に来てくれた人たちが「新居での搬入も手伝う」と言ってくれたが、電車移動では間に合わない。

 トラックの運転手と相談して、彼らを荷台に乗せて見えないように外から施錠密閉して家財と一緒に運んだことがある。これに比べればタクシーによる出前は罪三等くらい軽い気がする。

顧問 喜多村悦史

2020年11月11日