怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記114 生活のダウンサイジング

現在の福祉政策では貧困老人を産み出すばかり

 暮らして行くにはお金が要る。若くて馬力があれば、仕事を掛け持ちしてでも必要額を稼ぐ。そうした無理が利かなくなるのが加齢。

 「70近くなるとガクンと体力が落ちてくるよ」と言っていた先輩の年齢に近づき、予言の正しさに感じ入っている。

 高齢期では自身の労働収入では糊口をしのぐのも難しく、周到に準備するほかない。老後生活の手段は①公的年金、②預貯金、③アパート家賃等資産収入、④家族の仕送りなどだが、元を尋ねれば若い時代の積み立てにほかならない。

 年金保険料は給料天引きだが、性格的には強制貯金である。ローンでの住宅を取得も、生活を切り詰めて元利を払う点で貯金と変わらない。

 その成果として老後に家賃の支払いを免れ、売却することで老人ホーム入居金に充てることができるのだ。家族の仕送りは子育ての見返りであり、独身のまま老境に至った者には期待する権利すらない。

 

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 年金制度を論じる際に、現役時代の収入のどの程度が老後の生計費として必要かという議論が交わされる。だが注意深くケース分けしないと、頓珍漢なことになりかねない。

 独身を貫き、収入をそっくり消費に充てていた者では、現役時とほとんど変わらない老後生活費を求めるだろうが、②③④のいずれもないし、後世代扶養の公的年金受給権も怪しい。よって老後生活をとことん切り詰めるしかないはずだ。

 逆に3人以上の子を育てつつマイホームを取得し、個人年金等の資産形成も怠らなかった者の夫婦だけでの老後生計費は、現役時代よりも優雅になっても不思議ではない。

 さて社会が見本とすべきは、どちらのライフスタイルか。

 日本人に合うのは後者の「先憂後楽型」であろう。ところが実際の福祉政策では所得制限等の名目で、前者を優遇、後者を冷遇する。世直しするなら、まずこの倒錯から正す必要がある。

 顧問 喜多村悦史

 

 

2020年11月20日