怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記121 父親の臭いはキモイ

年頃、すなわち生殖適齢期の娘から「お父さん臭い。近寄らないで」と拒絶されたら、赤飯で祝うべきことなのだ。動物行動学者の竹内久美子さんが説いている。
 なぜ喜ぶべきなのか。それは娘が自分の遺伝子を引き継ぐ正真正銘の我が子である証明であるから。
 実の娘であれば、自分の遺伝子を半分持つことになる。その中に体臭もある。遺伝子に共通項が多ければ、臭いも似通う。
 ここで重要なのが、異性関係では、体臭に近親性があるほど、不快に感じることである。逆に差異が大きい相手の匂いは好ましく感じる。
 なぜそうなのか。近親相姦を避けるためという。科学的に言えば、劣勢遺伝による害を防ぐため。奇形、特定ウイルス感染性など、さまざまな弱点を遺伝子とともに親から継承するが、その素因が劣勢の場合、二親の双方からその劣勢遺伝子を受け継いだ場合に限って発症する。近親間が子を成さなければ確率は微小になる。
 よく知られた劣勢遺伝に血友病がある。血液が凝固しにくいことで知られる病気であるが、二親が近親者の場合に双方が同種劣勢遺伝子を持つ可能性が高くなる。
 ともあれ年頃の娘に「パパ素敵」とか「大好き」と抱きつかれたりするようだと、ひょっとしてこの子は自分の遺伝子を引き継いでないのではと、疑った方がよいというのが動物行動学からの結論。人間も動物の一種である。
 安心した人と、心配になった人がいそうだ。

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顧問 喜多村悦史

2020年11月27日