怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記131 福島原発処理水をどうする

決められない政治の一例。福島原子力発電所の処理水である。

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原子力発電所では、原子炉を超がつく大量の水で冷却しながら運転する。立地が海岸になる大きな理由である。海水を取り込み、冷却使用後に海に戻す。それが放射性物質を含み、人体に危険ではないか。だれだって最初はそう考える。そこで排水が含有する物質に危険性がないか、濃度等が測定される。危険数値に近づくようだと、国家の監視機関から運転中止命令が出る。どの国の原子力発電所でも同じことだろう。

福島では事故で固まった燃料に水をかけて冷却状態を維持している。そしてその水に含まれる放射性物質は浄化処理されている。ただトリチウムという物質だけは除去できず、その水をタンクにため続けている。写真でみる無数のタンク群がそれだ。

いつまでタンクを並べ続けるのか。専門家によるとトリチウムの放射エネルギーは微弱でセシウムの700分の1。また自然でも発生し、水道水などにも含まれる。問題は濃度であり、希釈して自然水に戻せば問題ない。ということで昨年9月に当時の原田義昭環境大臣が海洋放出を言ったが、いまだ正式決定されない。理由は“風評被害のおそれ”だという。風評を流す者には隠れた意図があるはずで、真意を解明せずに、唯々諾々それに迎合するのでは、統治能力の欠如、責任放棄であろう。

周知のことだが、トリチウムは正常運転の原子力発電所でも発生し、問題なく近隣水域に排出されている。国外の内陸発電所では河川、湖沼に放出しているはずだ。

風評を煽り、福島の魚を輸入しない宣言などで嫌がらせをする国もある。対抗策は簡単。買ってもらわず、国内消費すればいい。「福島の魚を使っています」シールを貼ってある食堂、レストランを日本国民が優先利用する運動を政府率先ですべきだろう。国会、議員会館、官公庁の食堂で率先実施することから始めよう。

 

顧問 喜多村悦史

2020年12月09日