怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記127 アフガン米軍削減

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ペンは剣よりも強し。民主主義社会では、もめごとは言葉の力で決する。この場合の言葉の力とは、声量でもなければ、大仰な単語でもない。周囲の者を納得させる内容なのだ。

この原則をわきまえないと、奇妙な論説になる。1121日の産経新聞社説がその一例。アメリカ政府がアフガニスタンとイラクの駐留米軍の削減を検討していることについて、異議を唱えている。

「アフガニスタンではイスラム原理主義勢力タリバンが、自爆テロなどで勢力を盛り返し、支配地を拡大させている。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の浸透も懸念される。駐留米軍はアフガン政府にとって、タリバンとの交渉や、治安維持において、大きな後ろ盾であり、欠かせない存在だ」

 一方、米国内では、米兵全員の帰還は、だれもが願っている。それは分かるが、今の状況の中で、しかも大統領の交代期に強行的に撤収を進めるのは、地域の安全の上で問題が大きい。アメリカのトランプ政権は、自分本位でなく、世界から脅威を取り除くという大義に立つべきだ。ざっとこんな論調である。

 正論である。だが説得性の点ではどうだろう。「なぜアフガンでアメリカの若者の血を流さなければならないのか」。これがメリカの母親の声だろう。「われわれも同じだから、同盟条約に基づきアメリカにも応援してほしい」と言って初めて説得力を持つ。

「息子がアフガンに駐留しており、休暇を日本で過ごすんだ」。オーストラリアで、ボクを日本人と知ったタクシー運転手が話しかけてきた。「アメリカとのお付き合いで軍を派遣しているのだが、日本も同じでたいへんだろうね」

彼はアメリカとの同盟国である日本も当然派兵していると思っている。ボクは話題を変える努力をするしかなかった。

顧問 喜多村悦史

2020年12月09日