怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記130 健康管理グッズと健康保険

 

公園でヨガ・ストレッチをする女性 - No: 2728343|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOKだれもがスマホを持ち歩く時代になった。便利な機能が満載。ポケットに手帳を忍ばせる必要はない。メモ機能もスケジュール管理もできてしまう。地図機能があるから迷子にならずに済むのも大きいが、それ以上に役立つのが歩数計。その日に何歩歩いたか、過去はどうだったか。これらをノートに記録する必要がない。

それで驚いてはいけない。アップルウォッチのように腕時計型に進化し、それには血液中の酸素濃度や心拍数まで自動計測するようになっている。

でその先に事業者が見据えているのが、こうした機能を活用した健康保険ではないかという(「DX超入門」週刊東洋経済6954号)。個人の継続的な健康データを取得し、保険数理に代入すれば、過去のマクロの生命表などに依っている旧体質の競合保険会社より格段に有利な保険商品を開発できる。

ではそれが日本でどのように事業化されるだろうか。日本には国民皆保険制度があるが、医療費の高騰と少子高齢化により保険財源難で、遠くない時期での制度破綻が見込まれている。これを避けるには原点からの制度差設計が不可避なのだが、政府の取り組みは遅い。壁にぶち当たるまで先送りを続けるつもりのようだ。

そして抜き差しならなくなった時に、国民皆保険維持は無理となって、上述のような新種保険への自由加入になったらどうなるか。アップルウォッチなどを活用して、健康維持に余念のない者が安い保険料で手厚い給付を受け、自己努力が足りない者用の医療扶助制度のために巨額の公費が注ぎ込まれることになるのだろう。

それとも国民皆保険を維持する観点からスマホ等で利用できる健康維持機能を結び付ける仕組みが工夫されるか。今の先送り状況では残念ながら前者になりそうだ。

 

顧問 喜多村悦史

2020年12月09日