怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記148 保育所の本質機能とは

 菅総理は「一般感覚での“当たり前”が受け入れられる社会」を目指すそうだが、この部分には賛成だ。

 では年金や税制では「夫は会社員、妻は千業主婦」を標準世帯としているのは当たり前か。違うだろう。太古の昔から、男も女も働いてきた。桃太郎のおじいさんは山で芝刈り、おばあさんは川で洗濯をするが、双方が分業形態でしっかり働いている。

 働く際の足かせになるのが小さな子どもだ。農家やホームワークの自営業では、目の届くところで遊ばせておくこともできようが、雇用形態ではだれかに預けるしかない。

 そして現代の就業、特に子育て期の若年世代では、そのほとんどすべてが雇用形態である。子どもの預け先は、勤め先に着ていく服、履いていく靴、通勤手段と同等に、雇用労働に従事するための基礎条件ということになる。

 

担任を持たない「フリー保育士」の役割って?そのメリットとは|保育士・幼稚園教諭のための情報メディア【ほいくis/ほいくいず】

 

 ここまでの整理に賛同してもらえれば、保育所不足(=待機児童)問題解決は少しも難しくないことが理解されるはずだ。

 保育(託児)は弱者救済ではない。飲食、ホテルなどと同様の純然たるサービス業。行政には質確保の観点からの許可や指導権限だけが必要なのだ。

保育費用は親が支払うが、雇用労働者の場合は「最終的には雇用者が費用負担」すべきことだけを確認しておけば、サービス価格は需給に任せて自由設定でよい。

この原則を実現する具体策として最低限必要なのは次の2項目だろう。①個々の事業者が子なし労働者を優先しないよう、保育所費用を社会保険化して全事業者の共同負担にする。②親に対しては、子育て費用全額を所得税から税額控除する。

 この二つを制度することで、保育所問題は解決し、認可保育所に投じられている1兆円規模の政府一般財政からの運営費補助などは、きれいさっぱり廃止できる。

顧問 喜多村悦史

2020年12月25日