怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記146 東京ゼロエミポイント

 日々届く郵便物のうち重要性が低いと判断されたものを、家内はボクの机に置く。ボクは邪魔になるので、そっくり脇に積み上げる。そうして山になったところで年末になり、そのままドサッと捨てられる。

 これがボクにとっての恒例大掃除。終活に伴う断捨離もあるから、とにかく捨てる。机まわりの書類などは、基本的にバサッ。方法は決まっていて、一定の大きさであればひもで括って資源ごみだが、それ以外はポリ袋に放り込んで可燃ごみ。年末の収集に間に合わせるため急ぐ必要がある。

そうした中に「簡易書留」と朱書された封筒があった。気になり、手に取ると「進展」に続けて「ゼロエミ」などとある。ゼロエミッションの略だとは分かるが、ボクは二酸化炭素が温暖化の原因とする説には反対の立場。でもさほど大声で公言しているわけでもないし、お叱りの通知をいただくのは解せない・・・。

 危うくそのまま捨てるところだったが、なんとなく気になり、開封してびっくり。商品券が入っているではないか。さては新手の詐欺ビジネスによるまき餌の手口か。家内に見せたら、「来ないと思っていたら、あなたの机のごみにまぎれていたの」とのたまう。

シンプルライフを叶える】年末の大掃除の負担を「少し」軽くする方法♬ - インテリアデザイナーまよの MIYABI STYLE STUDIO

 夏前に冷蔵庫を買い替えた。その際、電機店から書類を渡され、申請すると東京都から省エネ助成金をもらえる可能性があると言われ、家内が挑戦した。

 書類づくりが意外に面倒なようで、一度出したが何かの不備で送り返され、電機店の担当者に何度か電話で教えてもらっていた。それを横で見ていたわけだが、その後、家内もすっかり忘れていたようで、その後は話題に口に出すこともなかった。

 その返信封書が見つかったのだ。「あら、うれしい」。商品券は彼女の財布に収まった。使うのを忘れなければいいのだが…。

 この商品券配布のための作業量をカウントしてみた。

 ①電機店が顧客に説明し、②顧客が申請書類を作成し、③東京都の下部機関と思しき東京ゼロエミポイント事務局が人員を雇用して審査をする。

 その間、関係者間での電話協議や郵便配送。それら作業を時給換算すると、交付商品券金額の相当割合に匹敵するだろう。

 省エネ家電への買い替えは重要だが、公費で釣る必要があるのかどうか。「家電の省エネ技術が進んでいるので都民は協力してください」との呼びかけで十分ではないのか。

 そもそもわが家で冷蔵庫は20数年故障知らずであった。家族数が減り、「大型では電気代がもったいないので小型化する」が買い替え理由。商品券に釣られたのではない。

 ところで同封のパンフレットでは、冷蔵庫のほかにエアコンと給湯器について、省エネ効果、家計のお得額、CO₂削減量が掲げられている。ということはこれら家電が商品券配布対象と推測される。

そういえば、今年はリビングのエアコンを取り換えた。ただし量販の電機店ではなく、近所の電気工事業者に頼んで取り換え設置してもらったのだが、その際、ゼロエミポイントの話はいっさい出なかった。

 こちらもその時点ではこの交付金制度を知らなかったから、聞きもしなかった。古くなって運転音がうるさいのが理由で、電気代節約が目的ではなかった。彼はビル新設工事でのエアコン設置請負が主な仕事であり、エアコンは小売店ではなく、事業用の卸問屋で買って来てくれた。

 都庁はゼロエミ補助金の周知に費用をかけていると反論するだろうが、あらかじめ内容熟知の消費者などそうそういないはず。消息通の友人によれば「この種の補助金は大手電機店の営業手段になっている」。

もらえれば うれしい商品券 財源が税と知れば 思いは複雑

顧問 喜多村悦史

2020年12月24日