怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記159 介護保険とは?

 社会は構成員の合意で成り立つ。自分の都合だけを声高に主張することはよしたい。特にマスコミ等の発信力、影響力を有する者は心すべきだろう。今年は介護保険実施20周年。地方紙を含め、新聞社説を検証してみた。二つほど紹介する。

 一つが北海道新聞で「大胆な賃上げが急務だ」と題する(43日)。「子が親をみる」時代から「高齢者を社会全体で支え合う」への時代転換としたうえで、介護保険存続が危ぶまれている理由を人手不足と断定している。

 介護離職、老々介護、高齢者虐待、ケアラーの社会的孤立も、すべて介護保険の給付水準が低すぎることが原因だそうだ。そして「国は責任を果たせ」と一気にヒートアップする。

 

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 介護要員の処遇(賃金)を9万円ほど引き上げて他産業並みにする。利用者の自己負担割合引き上げは問題。保険料はすでに限界だ。

 そこで国は防衛費削減、企業優遇税制見直し、富裕層への課税強化で、介護保険に投入する国費を増やせと続く。

 今の日本で国に求められる任務が介護の社会化しかないと言わんばかりである。この主張の行きつく先は、介護は国家責任で当人には準備責任はなく、家族は無関係ということになりそうだが、それがほんとうの国民の声なのだろうか。

 趣を異にするのが中国新聞の「利用者本位こそ原点だ」。介護保険の持続性危機感は共通だが、要支援者への訪問介護・通所介護を全国一律サービスから、市区町村の裁量に移行したことなどを評価する。

 介護保険にはサービス利用者となる住民の意見を事業計画に反映させる規定があることを根拠に、お上(国)任せに祖返りせず、地域社会で住民同士が語り合うことを提唱している。

顧問 喜多村悦史

2021年01月07日