
怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~
アメリカのテレビドラマにはまっている。お気に入りは法廷物。弁護士同士(民事事件)、あるいは検察官と弁護士(刑事事件)が丁々発止のやり取り。それをユーモアも交えながら巧みにさばく判事。傍聴に行くのも楽しいかなと思わせる。
有利な証拠を探し出し、証人に突き付け、矛盾点を会釈なく追及する。口頭弁論のだいご味だ。アメリカの裁判では、刑事事件、民事事件を問わず、陪審員制度が採用されている。彼らの心証をいかにつかむか。
陪審員は回りからの言動で影響を受けないよう、判決に至るまで缶詰め状態にされる。有権者はくじ引きで陪審員に指名されると、自分の仕事を中断して参加するが、それが民主主義社会を維持するための市民の義務と承知しているからだ。
その協力に対して国家から手当てが支払われる。その金額は1日15ドル程度なのだそうだ。大の大人が終日の作業の代償が約1,500円。
出典:当たった!・・・陪審員に選ばれた・・・ アメリカ/モントレー特派員ブログ | 地球の歩き方 (arukikata.co.jp)
わが国でも重大刑事事件には裁判員制度が導入された。その権限はアメリカの陪審員に比べれば、ないに等しいようなものだが、今後、本格的な陪審制に向かう一歩とすれば評価を惜しまないことにしよう。ただし問題は報酬面。1日1万円以内とされ、アメリカの6倍以上の高額である。
民主主義の主権行使手段なのだから、本来は無償化交通費実費程度が正しいのではないか。議会議員の選挙で投票に行くのに手当をくれという者はいまい。町内会、マンション管理組合、PTAなどの役員の積極的引き受け受け手はいない。しかし選ばれた以上はしっかり役目を果たす。そして報酬が支払われることはまずない。そういうものだということになっている。
こうした視点で考えると、地方議会議員の定額報酬はいかがなものか。議会が通年開かれているわけではなく、また予算案や条例案を議員自ら勉強して作成するわけでもない。その点に着目し、福島県の矢祭町では平成20年以降、定額報酬をやめて、実際に仕事をした日につき3万円の手当に変更している。
アメリカに限らず、民主主義の先進国の地方議会では、さまざまな職業に就いている人が議会を構成するのが望ましいとの考えに立つ。議会は夜間、報酬は陪審員並みというのが多いと聞く。議員も陪審員も町内会やPTA役員も、民主主義社会を機能させるための公益活動で、住民仲間。この感覚が重要だと思う。
顧問 喜多村悦史
2021年01月18日