怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記171 産前産後の国民年金保険料

厚生労働大臣からの委嘱により年金委員をしている(残念ながら無報酬)。役割は年金制度の正しい知識の普及啓発。日本年金機構から周知してほしい情報が送られてくる。今回は国民年金の産前産後保険料免除の導入について。

「国民年金第1号被保険者20歳以上60歳未満の自営業者・農林漁業者とその家族、学生、無職の人)が平成3121日以降に出産をした場合、産前産後の国民年金保険料が一定期間免除される」がその内容。

 なぜこの仕組みを作ったのか。端的に言って、子どもをたくさん産んでほしいから。日本社会が人口減でたいへんな状態になりつつあるが、その影響は年金制度では特に甚大。「若い世代が老齢世代を養う仕組み」だから、世代間人口比が最重要関数であることはネコでも分かる理屈。

 したがってここでの免除は、既存の免除とは、老齢基礎年金額の計算においてまったく違う。保険料免除されても、保険料は納付されたものとして扱われる。つまり満額の年金につながる。子どもを産まない者を差別するわけだが、少子化対策上文句を言うなということ。生物的構造上男性は、この免除の可能性はない。年金数理上穴があかないよう、全員の保険料が月額100円アップになっている。

 低所得者などが申請できる従来型の保険料免除は、保険料を追納しないかぎり、免除期間に関して老齢基礎年金は半分になる。本来はゼロでもいいのだが、国庫負担分は支給するということで、半額になるのだ。


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免除類似の学生保険料納付特例という仕組みがあるが、この場合は追納しない限り、国庫負担分をつかない。この3種類を混同しないようにしよう。

 保険料が免除されるのは、出産日(予定日)の前月、当月、出産翌月、翌々月の4か月分。双子の場合、出産前にさらに2月足して6か月分になる。前納など保険料を払い込んでいても大丈夫。該当月分保険料が還付される。

 受付窓口は年金事務所のほか、市区町村役場でもよい。提出書類は日本年金機構のホームページからダウンロードできる。出産の事実を証明する書類が必要だが、出産前では母子健康手帳でよい。

 なお、国民年金2号被保険者は厚生年金加入者であり、そちらの制度に保険料免除制度がある。第3号被保険者(専業主婦)には免除はない。もともと保険料納付しないのだから当然ですね。

 年金や社会保険について知りたいことがあれば、終活カウンセラー協会事務局を通してどうぞ。

顧問 喜多村悦史

 

2021年01月18日