怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記181 コロナ死亡数5千人超す

コロナ死亡数が累計で5千人を超えた。テレビのワイドショーはこれで持ち切り。

「私たちも高齢者。感染したら重症化する可能性が高いのだから気をつけなければ」ということで、巣籠状態に拍車がかかっている。どの家庭でも同じようで、web同窓会では「子どもや孫とはまる一年会っていないで、もっぱらLine電話」の声が多かった。

テレビのレギュラーコメンテーターの口上はほぼ同音異句。「コロナ感染防止を防げ」である。たしかに一人も感染しなければ、“コロナで”入院治療を受ける者はいず、したがって“コロナで”死亡する者はあり得ない。

だがそこでは肝心なことが抜け落ちていないか。ヒトは長生きになったが、不死になったわけではないのだ。寿命50歳が100歳に延びれば、この世でも持ち時間は倍増する。ではこれをさらに倍の200年に延ばすことができるか。寿命に長短はあれども、最後に死ぬ点では同じなのだ。ただその死に方、死因は千差万別だ。

 

40代フリーランスが脳梗塞で倒れて起こったこと【02・入院生活】 | antenna*[アンテナ]

 

政府の人口動態統計の「死因簡単分類別死亡数」によると、平成30年の年間死亡総数は136万人。コロナ発生からほぼ1年だから、コロナが原因の死亡者5000人(0.5万人)は死亡総数の272分の1程度に相当することがわかる。

国民はどういう理由(死因)で亡くなっているのか。統計では死因を19の大分類に分けている。各項目の死亡数は偏りが大きいので、A組(Ⅰ0万人以上の重量級)、B組(1万人以上Ⅰ0万人未満の中間級)、C組(1千人以上1万人未満の軽量級)、及びD組(それ以下のマイナー組)に分ける。

まずはA級の4死因である。数値が大きいものは万人単位でくくり端数を切捨てる。

最大は「新生物(02)」38.6万人で、そのうち悪性新生物(がん)が37.3万人とほとんどを占める。

次が「循環器系(09)」の35.2万人で、その内訳は心疾患20.8万人、脳血管疾患10.8万人、大動脈瘤及び乖離1.8万人、高血圧疾患0.9万人などとなっている。

「呼吸系の疾患(10)」は総数19.1万人。内訳では肺炎9.4万人、慢性閉塞(そく)性肺疾患1.8万人のほかにインフルエンザ0.3万人が含まれる。そのほか誤嚥(ごえん)性肺炎3.8万人、間質性肺炎1.9万人などは、その他の呼吸器系疾患(総数7.2万人)としてまとめられている。

A組の最後が「症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの(18)」の13.5万人。老衰0.9万人はここに含まれている。

続いてB組の7死因。

「傷病及び死亡の外因(20)」6.9万人は大きく不慮の事故(交通事故0.4万人を含む)の4.1万人と自殺2.0万人である。なお他殺273人は日本ではごく少ない。

「消化器系の疾患(10)」5.2万人では肝疾患1.7万人が大きい。

「神経系の疾患(06)」4.8万人には、アルツハイマー病1.9万人、パーキンソン病1.0万人などがある。

「腎尿路生殖器系の疾患(14)」3.9万人では腎不全が2.6万人で最大。

「感染症及び寄生虫症(01)」2.4万人の内訳は多種で、目立つものに結核2204人、ウイルス性肝炎3055人などがある。海外で依然猛威を振るっているヒト免疫不全症候群(HIV)病は国内ではわずか43人。

「内分泌、栄養及び代謝異常(04)」2.2万人のうちでは糖尿病1.4万人が大口だ。

「精神及び行動の障害(06)」のほとんどは血管性及び詳細不明の認知症の2.0万人。

 続いて死亡者数1万人未満のC4死因は次のようになっている。

「筋骨格系及び結合組織の疾患(13)」8811人、

「血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害(03)」4330人(これには貧血2186人が含まれる)、

「皮膚及び皮下組織の疾患(12)」2659人、

「先天奇形、変形及び染色体異常(17)」2006人。最後の「先天奇形、変形及び染色体異常」のうち先天奇形では、心臓等の循環器822人が大きい。

 新型コロナとして新たに死因分類を新設するとすれば、この1年累計ではこの組に属することになる。そうではなくインフルエンザの同類とみなして「呼吸系の疾患(10)」(総数19.1万人)に含める考えも成り立つ。あるいは「感染症及び寄生虫症(01)」(総数2.4万人)のなかに中分類する考えもあるだろうか。

最後のマイナー死因分類が4死因。

「周産期に発生した病態(16)」486人、

「妊娠、分娩及び産じょく(15)」33人、

「耳及び乳様突起の疾患(08)」16人、

「眼及び付属器の疾患(08)」9人。

 これらのD組の死亡者数に比べれば、新型コロナ(この発展転移型が発見されており、それも含めることになろうが)死亡者数は脅威だが、A組と対比した場合はどうか。国民全体の保健政策、長寿政策、人口政策をどのように考えるのか。少なくとも10年以上の先を見通した冷静な検討が必要と思われる。

顧問 喜多村悦史

2021年01月27日