怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記203 シラクの社会保育3原則

2019年9月に86歳で死去したシラク元フランス大統領。大の親日家で大相撲大好き。ワインよりも日本酒を好みで、『万葉集』、『源氏物語』、『奥の細道』も読みこなしていた。そのシラクさんが唱えたのが、社会的保育に関する「シラク3原則」であると、出口治郎さん(ライフネット生命会長)が言っている。

フランスは先進民主主義国のなかで出生率が2を保ち、少子化問題に対応できていることで知られる。シラク大統領の手柄であるとされるが、3原則のバックボーンになっているのは、フランス文化を守ることへの使命感。

「フランスの文化を守るためには、フランス語を母語とする人口の維持が必要だ。」

「そのためにはフランス国内で、フランス語で暮らす者にどんどん子どもを産んでもらうことだ」

「両親がそろっているなどのぜいたくを言っていられない。先に子どもを産み、その後に結婚することでも一向にかまわない」

 要は、出産、子育てに関する国民の意識改革を促す政策というわけだ。

 

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 三原則の第一は、子どもを持つことによって新たな経済負担を生じさせない。子どもが多くなるほど優遇される児童手当や児童扶養手当、税制上の控除制度(フランスではN分N乗方式)などが具体施策になる。

 第二は、原則無料の保育支援。幼少期に社会ルールを覚えさせることの効果が実証されてきていることを背景に、3歳児から義務教育の対象にするなどの施策が進められた。

 第三は、育児休業後の職場復帰に際して、企業は勤務継続していたものとみなし不利益評価をしてはならない。

 これらを見て、「日本ではとても導入無理」と思うだろうか。フランス人も最初はそう考えただろう。だが、子どもを増やすことが達成すべき政策であるとの合意ができれば、後は難しくない。フランではできて、なぜ日本ではできないのか。できないのではなく、実はしたくないのではないか。

 みなさん、上記中の「フランス文化」を「日本文化」に置き換えて考えてみてください。

顧問 喜多村悦史

2021年02月18日