怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記205 診療報酬にマクロ経済スライドが必要

国民皆保険で、原則、だれもが手持ちの健康保険証で必要な医療を受けられる。病院や診療所には、医療行為に応じて設定された契約料金が支払われるから、取りはぐれがない。食堂での食い逃げやスーパーでの万引きに相当する行為がないのだから、病院、診療所は安心して営業できるわけだ。

個々の医療行為に点数が定められており、一点の金額は一律10円に固定されている。病院等が実施した診療行為を羅列し、それぞれの点数を積み上げ、それを10倍すれば総売り上げを算出できる。さらにすべての医療機関の総点数から、日本全国での医療費合計を計算できる。

その国民医療費だが、人口高齢化と医療技術の進歩で、年率2%程度自動的に大きくなっていくとされている。しかし人口減だし、現役層の所得は伸びない。医療費の自然増を容認することは、保険料の引き上げが必然事項になるということである。

 

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これからの時代、この構造を放置することはできないだろう。そこで求められるのが医療費の適正化だ。患者が病院に行くことを抑制するため、一部負担割合を引き上げるなどが検討される。これは保険者の支払いを患者に回すことであり、患者にとってはかなり厳しい。

もっと簡単な方法はないか。年金では少子高齢化が進むと、その割合で年金額が減るマクロ経済スライドが導入されている。医療保険にも同じ仕組みを導入すべきではないか。少子高齢化の速度は年金では、年率で1%弱の0.9%とされている。これを診療報酬の単価である10円に適用してはどうか。毎年1%ずつ引き下げて、1点を9.9円、9.8円…としていくのだ。

医療機関は経営に関わるというだろうが、そこは工夫の領域。毎年1%(百分の1)のコストカットであれば、できないとの泣き言を聞く必要はあるまい。どの経営体でもやっていることなのだから。

毎年1%の単価引き下げで、医療費自然増(2%と見積もられている)の半分を吸収できる。残りの1%をどうするか。健康づくり運動などで、病気になることを減らすことになろう。国民の健康度を毎年1%ずつ向上させる。生活習慣の改善でこの程度のことはできるはずだ。そのくらいの覚悟を持って事業運営にあたるのが健康保険運営者の使命であると思われる。

顧問 喜多村悦史

2021年02月21日