怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記212 近所の銭湯が廃業

散歩していて、アレ!

 見慣れた銭湯の看板がなくなっている。近所の銭湯が廃業していた。

 コロナ以前、孫たちを連れて通ったものだ。親水公園のペダルボートで汗を流し、公衆浴場の大きな浴槽で疲れをいやす。湯から上がった後で飲む瓶入り牛乳の味は格別だった。ささやかなぜいたくの場だったのだ。

 かつての銭湯は家庭に風呂が普及していない時代の必需社会資源だった。今ではアパート、ワンルームマンションにも浴槽がついている。だけど一人が膝を抱えてようやく座れる狭さを離れて、湯の中でゆったり手足を伸ばしたいときもある。庶民の日常生活におけるささやかなぜいたく。やはり銭湯は必要だと思う。

 この銭湯では、大浴槽の壁に定番の富士山の絵を2年ほど前に書き直していた。ネットニュースだったかで、都内に3人しかない浴場壁画専門絵師による作業風景を紹介していた。その投資をしたからには、今後も営業継続間違いなしとボクは判断していたのだが。

 廃業の理由はやはりコロナだろうか。都庁がうるさく三密防止を呼びかけており、風呂屋に行くのがはばかられる。その結果、客足が絶えての廃業か。

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 銭湯に通う者向けの支援がある。江東区の場合、大人に連れられて行く未就学児は無料になる。ボクはこれを利用していた。また区内在住の70歳以上の高齢者では料金が200円に割引される。こちらは70歳の誕生日を指折り数えて期待していた。

 週2回利用すると言っていた80代のおばさんは、1キロほど先の銭湯に行き先を変えた。「これから暖かくなると、湯に入っての帰りにまた汗をかいちまうよ」。

 清潔のためにはシャワーで十分だが、それでも日本人は浴槽で体をほぐすことを好む。高齢者のデイサービスなどでも入浴がメニューになっている。社会資源の有効活用の満点から、デイサービス施設などがそれぞれ浴場を構えるのをやめて、銭湯の一定時間を借りるようにできないか。そうすれば銭湯は料金収入が増え、デイサービスな高齢者のためのサービス事業では施設コストを節減できる。デイサービス等は“福祉行政”で、銭湯は“衛生行政”だから、所管部署が違う。ひょっとしてそれが先のようなアイデアの実現を阻んでいるとしたら…。考えすぎでなければよいのだが。

顧問 喜多村悦史

2021年03月02日