怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記232 鳥のマイホーム

結婚して家族を持つにはマイホームが必須事項。現代人の場合、分譲住宅に申し込む。中古マンションを買う。アパートを借りる。いずれにしても取得手段はおカネ。自分の労力で新開地に建てることはない。

 わが家の横に親水公園がある。そこには人が渡れない小島があり、鳥たちのサンクチュアリになっている。そこでは今、サギたちの巣作りが真最中。こちら側の岸から素人カメラマンが望遠レンズを並べて写真撮影している。ボクもスマホで1枚撮ってみた。それが下の写真。

 これはと思う枝の付け根に夫婦の2羽が場所取りしたら、交互に地面に降りて手ごろな枝を拾ってくる。それを組み合わせて“愛の巣”を作っている。完成したら、卵を産み、夫婦で交互に温める。そして日が満ちると卵が割れて雛が孵る。そうしたら親鳥たちは交替で餌探しと、雛の見守りをする。今年もその季節になった。

 この地にボクが住み始めた頃はサンクチュアリに営巣するサギは23組だった。それが今はどうだ。どの木にも巣が鈴なり。少しこんもりしているかなと見えるところはすべて巣である。鳥が見えないのもあるが、日本で増えている無住の空き家ではない。夫婦そろってお出かけ中のマイホームであり、夕方にはすべてが帰巣してガヤガヤと夕べの団欒になる。

 

鳥の巣は解放的。人間の家のように窓は壁で仕切られていないから、防音機能がなく、発した声はすべて外部に聞こえる。これから夏前になって大きくなった雛が巣立ちするまで、周辺に鳴き声を撒き散らすわけだ。しかしそこは野生動物にやさしい日本人。夜陰に紛れて島にわたって巣を壊してサギを追っ払おうとする不届きな者は知る限り一人もいない。

 人間が害を及ぼさないからサギはどんどん増えるということか。サギには生まれ育った場所に里帰りして、自分たちの新しい巣をつくる習性があるという。サンクチュアリ枝と枝に密集してマイホームを作っているサギたちは、実は血がつながった大家族で、兄弟姉妹、いとこ、はとこの集団なのかもしれない。

顧問 喜多村悦史

 

2021年03月19日