怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記238 ペットのリビングウイル

昨日は終活の最終章、主体的な「死に方」について考えた。尊厳死と安楽死。医師の長尾和宏先生によれば、人生の最終章に近づいた時に、本人が望んだ場合、医師が処方した薬物によって、意図的に指揮を早めるのが「安楽死」であるが、これは薦めない。生ある者は必ず死ぬ。そのときに苦しみや痛みを極力少なくするのが「尊属死」。この場合、当人の希望に沿って、不要な延命治療をしないのが鉄則。だけど自分の意志はしっかりしていても、意思表示できない状態になれば、医療の決定権は他人に移る。そして当人は希望していなかった濃厚医療を施されることになってしまう。ただし必ずしも当人の福祉を考えてではなく、当人が生きている限り支弁される年金狙いのことがあるから要注意とのことだった。

わが家のチョコは老犬。乳がんに罹り、お腹に大きな腫瘍ができている。どうしたものかとかかりつけの獣医に相談したら、「もう歳だから、体力を消耗する手術はよしましょう」との宣告だった。人間ならばモルヒネを使った疼痛管理になるところだが、痛がる素振りを見せない。この状態が何年も続いている。

そうしたら今度は歯が痛んできた。牙がポロっと抜け落ちた。また獣医師に相談すると、「歯周病ですなあ。ミニチュアダックスフントの犬種にはありがちな病気」とのこと。調べるとネットには、病気が進行して頬に穴が開いてしまった事例が幾例もある。そんなことが…と気遣っていたら、チョコの頬から壊死した組織がポコッと抜け、頬に穴が開いた。

ところがこれにも痛がる素振りを見せない。水を飲むと漏れるのだが、当人はさほど不都合を感じないようだ。食欲も相変わらず旺盛。

知人に聞くと、餌を食べられなくなって点滴したという話も聞くが、チョコはその点での介護は不要。

 ネットでは手術して穴をふさいだ例もあれば、そのまま放置の例もある。さてわが家はどうしたものか。人間と違って犬には公的健康保険はないからまったくの自費負担になる。とりあえず様子見が続いている。

 チョコ自身は手術してほしいと考えているのだろうか。それとも今の暮らしでいいやと思っているのだろうか。リビングウイルを文書で明確にしておくべしというのが長尾先生の提案。物言わぬペットの場合のリビングウイルはどうしたものか。

顧問 喜多村悦史

2021年03月26日