怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記245  “ウソ”ニュースだよね

半月ほど前に読んだネットニュース。
見出しは、加藤官房長官、尖閣に行政標識設置「政府関係者以外の上陸認めず」。
ボクは、日本政府が尖閣に行政標識を設置することを決めたのだと理解した。そして日本政府以外の上陸を当面禁止する。つまり外国の政府筋に対する尖閣を諦めろとのメッセージと受け取ったのだ。ようやく一般人にも理解できることを言うようになった。
だが、本文を読んでガックリ。というより腰が抜けた。短いので全文を載せよう(写真=鈴木健児撮影も)。

―加藤勝信官房長官は15日の記者会見で、沖縄県石垣市が尖閣諸島(同市)に字名「登野城尖閣」を示す行政標識を設置する動きをみせていることについて「政府としては尖閣諸島および周辺海域の安定的な維持、管理という目的のため、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸は認めないとの方針をとっている」と述べた。
加藤氏はまた、石垣市が標識設置のため上陸申請した場合の対応について「必要性や尖閣諸島をめぐる状況を総合的に勘案して判断する」と述べた。一方、政府高官は上陸申請を不可とする見通しを示した。


石垣市では昨年6月に市議会が市の行政区域に含まれる尖閣諸島の住所地の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更するよう求める議案を賛成多数で可決。市は同年10月に字名を変更し、行政標識の設置を検討している。―
標識を建てようとしたのは石垣市というこの島を管轄する自治体。それをさせないと官房長官が言っているのだ。自治体の地籍表示をさせないということは、この島が石垣市の区域ではないと政府が認識しているということか。であれば、どの自治体に属するというのか。かつて東京都の石原慎太郎知事が地主(日本人)から買い取ろうとしたことがあり、国民の善意の寄付金で買い取り資金が集まった。そのときに政府(当時は民主党の野田佳彦総理)は、日本国の領土であることを明確にするために国が買い取るとして横から口をはさんだ。


その際、所管を変えると言わなかったはずだ。石垣市は自市の領域と理解している。政府がそれは違うとするなら、どの自治体に所属するのか。あるいは政府の直轄地域であるとするのか。国費で購入し、全域が国有地。しかも今は無人。そうであれば政府直轄地に組み入れるのが、よいのではないかと思える。


直轄地であれば、標識を政府自身が建てるべきである。標識の必要性について総合的に判断するとするが、必要がないという理由は成立しない。あるとすれば財政上の理由だろうが、中国に対する領土保全の意思表示としては、巡視船の追加配備と同等目的であり、ケチる場合ではない。


半月前のニュースをなぜ今日(4月1日)思い出したか。「あれはエイプリルフールのジョークでした」と加藤官房長官が訂正することを期待したからだ。


顧問 喜多村悦史

2021年04月01日