怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記258 パスポート取得

 パスポートを取得した。更新のはずだったが、月表示のMAR MAYと読み違えていて、期限切れ失効。新規発行扱いになった。でもお咎めはなかった。

「コロナなのに外国旅行もないだろう」と口が悪い人は言う。でも75歳で運転免許証返上することになれば、それに代わる身分証明として使える。それに、口にしたくはないが、いつ、どういう理由で、身を守るために、この国を離れなければならなくなるかもしれない。

 母国の安全が危うい人は、幾重にも安全策を講じている。ある台湾家族の場合、従兄弟、従姉妹が集まると、日本語、英語、ドイツ語が飛び交う。住んでいる国が違うからだ。親は、兄弟姉妹の中で一人を残して、成長すれば留学させ、その地で生活基盤を築くからだ。危急の際には、互いにそのどこかの親族を頼って亡命する準備である。そのためには定期的に集まり、縁を維持強化しておくことが必要だ。共通の祖父母が資金を出して、集会を開くのだ。

集まったときは母国語で話せばいいではないかと聞いてみた。長く外国に暮していれば、その地の言葉や文化に染まる。配偶者がその地の人であればなおさら。そして生まれた子どもは現地の学校に通い、現地人になり切る。従兄弟従姉妹の集会には家族連れだから、台湾語だけとはいかないのだという。

 

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 それで意思疎通ができるのかと聞く。交誼を通じ合うのが目的だし、血縁というよしみがある。祖父母や親たちが取り持ってくれる。人間関係さえあればなんとかなるだろう。もしも頼れる人なしで移住したらどうなるか。素性を知らない者を、単に言葉が通じるからと頼り、頼られる。ところがそうした中に敵のスパイが入り込んでいる可能性を否定できない。

連れ戻されればどうなるか。究極的に信じられるのは同一の祖先に連なる血縁関係。こうした共同体を裏切る者はいないはず。「幻想かもしれないけれど、信じることだ」が答えだった。

 日本国民は原則的に共通の祖に連なることになっていて、それが国民の統合の源になっている。そしてまた征服、虐殺の経験を経ない稀有な歴史だから、深刻感がない。

パスポートには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する」と記載されている。外国政府やテロリスト、犯罪者に拉致された場合、日本政府は奪還、解放してくれるだろうか。このパスポートが無効にならないように国と国民を守るための予防措置や準備はなされているのだろうか。こうしたときのために税金を払っているのだがね。

顧問 喜多村悦史

2021年04月14日