怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記261 封じ込められた独立候補

中国に住民代表を選出する仕組みはあるか。

いささか旧聞だが、時事通信社の北京特派員、城山英巳さんの記事(2011118日)の一部を抜粋しよう。

 ― 中国の末端人民代表は住民の直接選挙で選ばれる仕組みで、北京市ではこの日、区・県の代表として4349人を選出。特に今年はミニブログ「微博」などで立候補を宣言したり、選挙活動を報告したりするケースが急増したのが特徴で、北京の独立候補は50人以上に達した。

 共産党・政府は人民代表選挙について、表向きは「一人一人が手にある貴重な民主権利を大事にしよう」(7日付中国紙・北京日報)と呼び掛ける。しかし独立候補に関しいては、市民が団結して一党独裁体制を突き崩す動きととらえ、警戒を強めた。独立候補を拘束したり外出禁止にしたりしたほか、微博での発信を削除し、選挙活動を妨害し続け得た。 ―

 

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 城山さんの『中国消し去られた記録』(284㌻)で、説明がされている。「中国憲法は第34条で「満18歳以上の全公民への選挙権と被選挙権」を明記している。…「独立候補」とは共産党・政府系団体の支持を受けず、インターネットで情報を発信したり、自身でビラを配ったり、マニフェストを独自で訴えたりして立候補する候補者のことだ。

選挙法によると、十人以上の有権者の推薦があれば、候補者になることも可能だ。しかし最終名簿に記載される「正式候補」になるまでには当局の内部審査があり、「独立候補」が当選することはほとんどない。」

 実態が分かる。民主代表制を制度化している。しかし民主的に選出される者は選出されない仕組みになっている。実質がないのに、あると強弁する。共産党は、他の政党を認めない。他党候補が一人でも選ばれてはならない。したがって共産党と民主制は両立しない。この点を踏まえないと、対中外交は成り立たない。

顧問 喜多村悦史

2021年04月17日