怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記281 三木谷さん、いったいどうした

「何を大騒ぎ」「意味分からない」楽天・三木谷社長、中国への情報流出懸念に反論。51日のネットニュース。

― 中国IT大手テンセントの子会社から出資を受けた楽天グループの動向を、日米両政府が注視していることについて、楽天の三木谷浩史会長兼社長は30日、「何を大騒ぎしているのか、全く意味が分からない」と述べた。中国への情報流出の懸念があるとの見方には、「取締役の派遣もない。テンセントは、(米電気自動車大手)テスラにも出資している」と反論した。 ―

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 これだけ読むと日米政府の民間企業いじめにも見えるが、果たしてそうか。

 52日の産経トップ記事「中国に個人情報」は次のように報じる。無料通信アプリ「LINE(ライン)」の利用者情報が中国企業から閲覧できた問題にからみ、同社以外でも国内企業の少なくとも7社で、保有する個人情報について中国に移転したり、中国企業が閲覧できる状態になっていることがわかった。中国では2017年に「いかなる組織と公民も中国共産党政府の情報活動に協力しなければならない」とする国家情報法が施行されており、個人情報を中国企業が入手した場合、中国政府が強制的に収集することが可能になっている。企業同士で秘密保護保持契約を結んでも、中国政府の情報収集に対する防御にはならない(日本政府筋)。

 人は自分の環境をベースで考える。日本など民主主義、自由主義社会の政府は個人情報の収集には抑制的だ。だが人民の支配統制を前提に成り立つ専制主義政府は、人民のあらゆる情報、とりわけ思想信条に関する情報をくまなく収集し、支配の手段と利用する。それが自国民に対するもので収まっている場合には、内政不干渉主義で知らぬ顔でいることもあり得よう。だが今回の外国は、自由に関する価値観がまったく異なる中国政府による個人情報収集なのだ。

 加えてLINEに象徴される問題は、われわれ日本国民の個人情報(思想信条に関するものが含まれる)が、よりによって中国政府によって収集されていることだ。自国政府による個人情報収集に反対するのは、自由主義社会を守るために当然だ。ところがそうした主張をしておきながら、他国、しかも専制国家が自分たちの個人情報を収集することには無頓着、むしろ賛同する。この落差が理解できない。一般日本国民の疑問に対して、「その問題意識が分からない」と鼻白む回答ぶりでいいのか。 

顧問 喜多村悦史

2021年05月07日