怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記282 尾身さん、分をわきまえよう

開催時期が間近に迫った東京オリパラ大会。

わが江東区はほぼ地元。区役所前には開催まであと○日の大きな表示がある。

実施するか、ドタキャンするか。これはもはや政治課題である。

これについて428日の国会、衆議院厚生労働委員会で次のような議論があったという。立憲民主党の長妻昭副代表副代表がコロナ緊急事態宣言のもとでの開催についてどう考えるかと質問し、政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長が、「非常に重要なことは感染の状況。それから当然、医療のひっ迫状況。そうしたことを踏まえてオリパラに関する議論をもうそろそろしっかりと議論すべきで、今、委員がおっしゃるようなことも含めて、私は議論をすべき時期に来ていると思います」と答えたという。

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それで躍り上がった野党がオリパラを中止せよと言い出した。仮に総理がオリパラは中止したいと言えば、逆に開催を求めて政府攻撃をするに決まっている。定見なく、政府攻撃をしたいだけという低次元であることは、今さら解説の要はあるまい。

問題は尾身さんの発言だ。コロナの防疫は重要な政治課題。それで専門家と評価される尾身さんが担ぎ出されているのだろう。

一方でオリパラをどうするか。これはもっとレベルが高い政治外交問題だ。代表制民主主義社会なのだから、最終決定は総理大臣に委ねられる。これに対し尾身さんは政治的には一介の私人。議員バッジなど持っていない。その人がどういう権限があって軽々と「オリパラ開催を議論すべき時期に来ている」と国会で答弁できるのだろう。

感染症の専門家として責任を果たすと肩に力が入ったのだろうか。そこまで責任感が旺盛であるのならば、コロナ対策はいかにあるべきなのか、それに対する政府、国民の対応はどうであったのか。そういうことをしかり論じてもらいたい。コロナでは感染防止が重要なのか、重度者を増やさないことが肝心なのか。ワクチンを国内自給するにはどうすればよいのか。国民が真に知りたいことに尾身さんをはじめとする専門家はどう説得的対応策を示したというのか。

自分の領域ではいい加減、権限ない領域では自信たっぷりにお説教。代議制民主主義の根本にかかわる問題だ。なお、こうした問題点は昨年10月に緊急出版された『新型コロナ対応民間臨時調査会報告書』でも指摘されている。

顧問 喜多村悦史

2021年05月07日