怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記283 人権は企業の責務

企業もまた社会の実在。民主、人権、自由を尊重する社会で営利を営む企業もまた、その精神を共有しなければならない。

 飲食メーカーのカゴメがウイグル産トマトの使用中止を発表した。ボクは大いに拍手を送り、このメーカーの商品を購入しようと思う。

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 416日のバイデン大統領と菅首相による日米首脳会談により、専制、人権抑圧の中国共産党政権への対抗姿勢が共有された。国家の意思が示された以上、国民も企業も腹を括るしかない。

 新疆ウイグル自治区の人権問題を巡り、米国や英国などは一斉に中国に対して制裁を発動し、エイチアンドエムやナイキなどの欧米企業は新疆ウイグル産の綿花を使用しないことが報道されている。フランス国内の人権NGOなどは4月、中国新疆ウイグル自治区での人権侵害を巡り、ユニクロのフランス法人や米国、スペインなど衣料品大手4社を強制労働や人道に対する罪を隠匿している疑いで刑事告発したと明らかにしている。企業は人権とは無関係などの逃げ口上は通用しない。

 一方、中国国内ではそれら企業の製品に対する不買運動を呼び掛ける声がネット上で拡散している。ただしそれは中国共産党の主導・自演であることは、これまでの経験に即しても疑いようがない。現に中国共産党系メディアも、「日本は中国との関係を修復させてきたが急に米国路線に重点を移し、両国の関係改善の勢いは失われた。日本が関わる程度によってそれなりの対価を払うことになる。」と強く日本を非難している。突発的な輸出入制限、関税引き上げ、不買運動、レアアース禁輸さらに深刻化すれば反日デモや邦人の不当拘束などがあると覚悟しておくことが必要だ。

 こうした中でのカゴメの決定である。カゴメは品質や安定性を総合的に勘案した結果としているが、ウイグル人権問題も判断材料になったと明らかにしている。もともとカゴメの総売り上げに占める中国シェアは高くないとのことだが、旗幟鮮明にしたことは素直に評価すべきだろう。

 一方でパナソニックは、テレビの製造拠点を中国にシフトすると発表している。なにを考えているのか。わが家のテレビはそろそろ20年経過する同社の年代物。買い替え資金ができても、今の状況では同社製テレビは選定対象外にすることになろう。

 わずかな値段の差で価値観を犠牲にすることはしたくない。

顧問 喜多村悦史

2021年05月08日