怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記292 ヘンリー・フォンダ

豊住公園脇に手入れされたバラが並んでいた。その中に黄色のバラ。あまり見たことがなかったから、近くでじっくり鑑賞。すると足元に小さな表示があって「ヘンリー・フォンダ」と書いてある。

あの有名は往年の映画スターの名前ではないか。『荒野の決闘』での保安官、ワイアット・アープ役はよかった。牛泥棒で弟たちの殺害者であるならず者クラントン一家とのOK牧場での決闘シーンがいい。

遠く離れた故郷の親に兄弟4人のうち二人が亡くなったことを告げに帰ることになり、町を出ていく。それを恋仲になったクレメンタインが見送るラストシーンと音楽。リバイバルを何度も見た。

彼女は東部の都市からはるばる元恋人を探し訪ねてトゥームストーンまで追ってきた良家の勇気ある女性。しかし元恋人との仲は戻らず、ワイアットと好き合うようになる。決闘事件の後、彼女は治安を回復したこの町に残り、学校で子どもたちに読み書きを教えて暮らす決意をする。ワイアットは「この町に返ってくる」と彼女に約束する。

ぜひ帰ってきて欲しい。そして彼女と結ばれて欲しい。映画を見た人はそう思ったはず。

ワイアットは実在の人物のはずだから、調べればわかるかも。思い立ってネット検索した。すると映画では長男のはずが、実は保安官になった兄がいて、彼はその助手に過ぎなかったとか、映画にかなりの脚色があることが分かってくる。決闘が実は家族同士の私怨で、保安官の立場を利用したものであったらしいことも。

ではクレメンタインについては? ワイアットにはトゥームストーンで知り合ったジョセフィーン・サラという女性がいて、その後に50年わたって人生を共にすることになったという。映画ではかなりの脚色はあるが、この町でワイアットが恋をして、人生の伴侶を得たという部分は“史実”ということになろうか。クレメンタインはジョセフィーンをモデル想像されたのだろう。

元に戻ってバラの話。手入れする人が酔狂で名づけたのではなかった。この黄色のバラの種のれっきとした名前だった。その横に深紅のバラには「イングリッド・バーグマン」の名札があったのだが、これも正式のバラの種類名だった。彼女の映画では断然『ジャンヌ・ダーク』。一途にフランス王家の忠誠を尽くし、最後は火刑に処される。理不尽さへの憤慨とともに彼女の気高い美しさが印象に残る。

 

顧問 喜多村悦史

2021年05月17日