怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記298 医療費は減らせる

2020(令和2)年度の医療費は前年度より23%台の幅で減少しそう。

医療費が過去60年で例のない減少となった真因 | 新型コロナ、長期戦の混沌 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 (toyokeizai.net)

この規模での減少は、国民皆保険となった19614月(1961年度)からの60年間で初めてとのことだという。その理由の解明はこれからのことだろうが、重要なのは「医療費は常に増えるもの」という刷り込まれた常識がウソであったことである。

そもそも国民健康度が上昇しているのだから、医療費総額は減らなければおかしい。そういう正しい常識の涵養と普及が必要なのだ。

厚生労働省(厚労省)の社会保障審議会医療保険部会に提出された資料によると、コロナ緊急事態宣言が発令されていた20204月、5月の前年同月比が、それぞれ8.8%減、11.9%減と大きく落ち込み、宣言解除後にも前年同期比でのマイナスが続いている。

政府や医療関係者は、人口の高齢化などにより毎年度23%の医療費増加があるものと説明する。それに「自然増」という名称をつけ、所与の前提のように受け入れさせようとしているのだが、騙されてはいけない。総医療費は、国民数(A)×受診率(B)×医療費単価(C)。国民数は減少している。生活習慣病対策などで病人は減るはず。

 

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診断技術進歩で医療費単価も下がるはず。生計費に占める食費の割合をエンゲル係数というが、傾向的に低下している。その分、家計は他の余暇等に費用を回すことができる。それを生活水準の改善という。医療費でも同様なことを期待するのが当然ではないか。

減少幅が大きいのは、小児科(単純平均で前年同期比27.8%減)、耳鼻咽喉科(同26.4%減)、外科(同11.4%減)などとされる。小児医療では都道府県や市町村が医療保険の患者負担分を肩代わりしており、実質無料受診になっている。

それがコロナ感染を怖れて受診控えが起きたわけだが、逆から見れば不要不急のいわゆる“コンビニ受診”が生じていたのが是正されたということだろう。

もう一つ考えられる要因は、マスク着用や手洗い励行で、体調不良になる者がほんとうに減ったということだろう。深く考えるまでもなく容易に想像できる事態である。

繰り返す。医療費は減らせることが分かった。今後の「医療費適正化」政策は、医療費を持続的に総額で減らしていくことであり、その目標数値を政府は示さなければならない。GDPを毎年度着実に2%拡大させつつ、医療費を2%ずつ減らしていくことになれば、防衛費を増強しつつ、かつ日本の社会も国民生活もゆとりが生じることになる。

顧問 喜多村悦史

2021年05月24日