怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記302 外傷診療を阻む学術会議

決められない政治がまた一つ。入管及び難民認定法の改正がうやむやになったことだ。518日、衆議院法務委員会で審議されていた「入管法改正案」の採決が見送りとなり、今国会では事実上の廃案となった。

政府が国会に提案していた法改正の内容は次のようなものだった。

〇難民認定申請は原則2回まで、3回目以降は強制送還にする。現行法では、母国で問題を起こしており、帰国するとまずいことになるので、何度でも日本政府に難民認定申請をする。認められないのを承知で繰り返すわけだ。

〇送還を命じられた不法滞在外国人が帰国を場合、国内で刑事罰に処する。入管施設が満杯のため施設外で過ごすことを認める場合には、支援者を監理人として監視させる。

今回の改正案に反対する側の主張は、該当者の中には、母国で政治的迫害を受けた結果である者が含まれている可能性があり、送還させてはならない。わが国は人権大国として、もっと寛容な対応をすべきということだ。

改正案を支持する側は、主権国家として出入国管理は厳格に行わなければならないということに尽きる。外国人がわがもの顔で国内跋扈する治外法権は認められない。

難民写真素材、ロイヤリティフリー難民画像|Depositphotos®

この問題、問題の根本はどこにあるのかを明瞭化しなければ、一般国民には何を揉めているかが分からない。

まず、不法入国者・滞在者の収容施設が混雑し、居住処遇が悪いという点について。わが国は人権を憲法で謳う国家であるから、国籍による差別はよくない。国内刑事施設に準拠するなど、衣食住の保障は十分でなければならないだろう。

その一方で、いつまでもダラダラと収容を続けるのも大問題。日本の国の主人公は日本国民。日本列島を世界の人に明け渡すわけにはいかない。出入国管理は厳格であるのが各国標準だ。

この例外が難民の認定。特に政治的迫害を受けて母国を脱出してきたような者を保護する観点からの受け入れである。この点での日本政府の態度が毅然としていないことが、問題解決を妨げている。結論を言えば、難民認定を積極的に行うべきということだ。ただしその際の問題は、難民に紛らせて工作員を送り込んでくる外国政府の策謀をどのように防ぐかである。その判断が難しい。

ならば外形的な判断基準を設けて迅速処理し、難民認定して国内居住を認めた者には一定期間追跡調査するのが常識的な方法であろう。難民認定率はわが国では0.4%だが、欧米では2割、3割台。一桁低いのはまずいだろう。外形判断の第一は、申請者の出身国。難民にスパイを混在させる常習国がどこかは、公安部署で把握しているはずだ。

難民認定の改善に合わせて実施しなければならないのは、不法滞在者の元を絶つことだ。外国人の若者の酷使等で悪名高い「技能実習生制度」の廃止。国内労働力の不足というが、真っ赤な嘘。IT技術の高度化等で、将来的には労働者疎外の方が深刻。未熟練外国人ではなく、国内のニートなどの職場復帰をしなければ、1億総活躍どころか、働く者と働かない者という国民断裂をもたらす。

スパイ行為や国内での扇動を目的に送り込まれてくる難民偽装者をどう防ぐか。これにはスパイ防止法等の諸国並みの法整備と同時に、入国者受け入れでの国別選定が求められる。例えば留学生。中国共産党はわが国の政治体制とは相いれない。そうであればそこからの留学生受け入れには慎重さが必要だ。中国政府による派遣留学生を動員しての相手国内暴動などの悪歴がいくつも報告されている。ならば国内でのそうした国からの受け入れ総数を限定することが、騒擾の未然防止になる。これは永住許可においても同様だ。国別に認定数上限を求める。これは国家として自衛措置であるから、国際ルール上の問題になるわけがない。

わが国の国是は、国民主権と自由権の保障。これを覆そうとする異政体国家の策謀への警戒を怠ってはならないのである。わいせつ教員再任用で問題になっている教育職員免許法の516号には、免許を絶対に付与できない者として、「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」が掲げられており、これには当然のことながら期間限定などはない。日本国民に対する制約が、外国人に及ばないという倒錯した考えをする国民はいないだろう。

顧問 喜多村悦史

2021年05月28日