怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記306 今年の植樹

5月30日に「第71回全国植樹祭」が島根県大田市の三瓶山で開催された。毎年開催地を変えて実施されている。30年近くも昔、某県庁に課長として出向して最初に出くわしたのが植樹祭だった。今上天皇をお迎えするというので、会場付近は歓迎の市民で大盛り上がり。そのときは昭和天皇だった。平成を経て今は令和の御代。ただし今回はコロナ対策で現地入りされず、皇居からリモート参加されたとのこと。日の丸の小旗を打ち振る機会をなくした地域の人たちは残念だっただろう。

植樹祭では陛下も自ら植樹される。その木を含め、地域の山林が地域の人によって手入れされ、後世国民への資産として継承される。今年は東京でプランターにコウノマキ(高野槇)などを植樹された。三瓶山に移植されるとのことだ。

 

 わが家での今年の植樹はサツキ(皐)とブルーベリー。植えたのはいずれも花木好きの家内。ボクはプランター、土などを運んだだけ。

サツキを植えたのは4月(第268回で紹介)。幼木であり、今年の花は無理だろうと思っていたのだが、赤い花を開いた。ボクが「花も咲かず、実もならない植物なんて要らない」と常々悪態をつくことへの抗議の意思表示かと思うと、なんともいとおしい。

 昨日もホームセンターでお供させられた。「実のなる気があったらいいよね」と家内。気のない返事で消極的反対意見を表明したのだが、彼女はブルーベリーの幼木群を指さした。「この中のどれが元気そう?」。返事を逡巡しているうちに、彼女は一本を選び、鉢や土などとともにカートに積み込んだ。

 帰るとサツキのときと同じく、ボクは指示されるままにバケツで水運び。小一時間でブルーベリーは鉢に納まり、書斎前ベランダにシンビジウム(第285回で紹介)とともに鎮座することになった。「目でも口でも楽しめるわよ」。彼女は収穫してジャムを作る気のようだ。

 木はプランターや鉢ではなく、大地に植わってこそ本意ではないのかなあ。

「だったら庭付きの一戸建てに住もうよ」。家内のその一言が怖いから、ボクは言葉を引っ込める。

子どもたちが小さい頃、家族で行った植樹を思い出した。家族旅行で宿泊したホテルの募集に応募し、二本植えた。夫婦で一本、子どもたちでまとめて一本。植樹者の氏名を書いた木札が据えられた。たしか一本はヒメシャラ(姫沙羅)。もう一本は何だっけ。

「育ったら樹間をあけて植え替え、名札も移す。何度も見に来てくださいね」。植樹に参加した10組ほどの家族を前に支配人があいさつした。でも、長いこと行ってないなあ。どのくらい大きくなっただろう。 

顧問 喜多村悦史

2021年06月02日