怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記314 「脱中国」踏み込み不足

産経新聞ネット記事(517日)。標題は、「脱中国依存」踏み込み不足 経済安保、さらなる危機感醸成を。

― 全国の経済同友会で極めて珍しい「安全保障委員会」を常設する関西経済同友会が17日、3年ぶりに同委員会の提言を発表し、初めて「経済安全保障」のキーワードを盛り込んだ。急成長する経済を武器にした中国の覇権主義が強まる中、会員企業にとっても非常にタイムリーだった。だが、専門家の間では、経済安保は「経済を使った戦争」と呼ばれるほど幅広い。貿易・観光面などで中国との結びつきが強い関西として、「脱中国依存」にもっと踏み込んでも良かったのではないか。 ―

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経済界には「政冷経熱」という言葉があるようだが、こと中国に関してはまやかしだ。中国共産党ではすべてが政治優先。企業も人民も、すべて共産党の支配を称え、世界征服への道のりに奉仕する体制になっている。宇宙ロケットも、ドローンも、通信手段も、ウイルスも、それらに係わる技術開発はすべて軍事的優位に立つための道具立てである。

― 日中間はかつて、政治的に冷え込んでも貿易・投資は活発な「政冷経熱」の関係が長く続いた。当時は中国の経済規模が小さく、中国にとって良好な経済関係は大きなメリットだった。だが、平成22年に国内総生産(GDP)で日本が中国に抜かれると両国の立場は逆転。中国は政治的に対立すれば、ハイテク産業に不可欠なレアアース(希土類)の輸出規制をほのめかすなど経済分野で圧力をかける方針に転じた。 ―

 予測されていたことではないか。特に習近平の登場で中国共産党は、本性を隠さなくなっている。わかりやすい分、国論をまとめるには都合がよい。

― 全国の対中国輸出は輸出額全体の2割程度にとどまるのに対し、関西の対中輸出は輸出額全体の3割弱を占める。世界中が新型コロナウイルス禍に見舞われる中、関西は中国の景気回復の恩恵をいち早く受けたが、行き過ぎた中国依存を見直さなければ、好戦的な「戦狼外交」の餌食になりやすい。 ―

 ではどう対応するのか。中学生が考えても明白なはず。しかるに、

― 「中国のみに依存するリスクは認識しなければならないが、関西は中国との関係が深く、あまり旗幟(きし)鮮明に表せない」/ 委員長の鴻池(こうのいけ)一季(かずすえ)・鴻池組名誉会長はこうこぼす。―

 蛇ににらまれた蛙を見たことがある。アマガエルの正面50センチほど先に青大将がいて、舌をチラチラさせている。蛙は後ずさりするか、横に跳ねるか。だが、一歩も動かない。なぜ? 蛇は正面から距離を詰めてくるだから、木石の振りをしてやり過ごす方策は賢明ではないだろう。蛇は頭をもたげ、距離を詰める。そしてカエルは咥えられてしまった。

― 提言では政府に対し、企業、大学や研究機関などを経済安保の観点から調査し、「わが国が圧倒的な優位性を持つ研究成果や技術、製品としてどのようなものがあるのか全容を把握し、実態を公表・共有すべきだ」と盛り込んだ。/ 安全保障に詳しい評論家の江崎道朗氏は「経済団体として政府調査に協力する姿勢を明確にしており、大変意義深い。しっかりした調査ができれば、結果的に中国依存リスクを企業に理解させることになる」と評価した。同友会は今後、提言の実行力やフォローアップが問われることになる。 ―

 そんな悠長な方法でいいのだろうか。経済同友会は全国に44あるが、安全保障委員会を有するのは関西を含め、二つだけだそうだ。東京などの同友会では、中国との友好をいまだに信じているのだろうか。中国と経済断交すると輸出が23割減るから困るのだという。国が亡ぶのに比べれば、そのくらいの試練はなんでもないだろう。

顧問 喜多村悦史

2021年06月08日