怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記325 命がけの証言

今の世でこのような残虐なことが起きているのか。実際に見て、聞いたものでないと実感が沸かない。

厳しい報道管制が敷かれていると、そこで何が起きているのか、外部のわれわれには伺い知ることができない。そこで判断は別れる。

身を持って体験し、脱出に成功した者の証言を信じるのが一つ。数少ない証言を信じるべきではない。そうした証言はいわゆるフェイクであるとの加害者側の主張を受け入れるのが二つである。

中国共産党支配下の中央アジアでウイグル社会に何が起きているのか。地獄を味わい、幸いに生きて脱出したウイグル人の生の声を描いた描き下ろし漫画が市販されている。その内容をフェイクであると言える厚顔無恥な市井人はいないと思う。証言者と著者清水ともみさんの勇気に敬服する。

都合が悪いことは暴力的に封じ込めるのが共産党独裁政府の習癖である。著者の身に異変が起きれば、99%中国政府の差し金によるものと断じて間違いないだろう。

 

 

もっともそうしたことにならないよう勇気ある発言者の身辺を守るのが、自由主義社会の諜報機関の仕事であり、アメリカなど西側諸国での仕組みは映画などで紹介されている。わが日本でも同様の保護システムがあることを期待したいが、実際はどうなのか。

同書のメッセージとして表紙裏に、

  • ナチス「アウシュビッツ」に匹敵する中国共産党の蛮行は許されない。
  • 文化的な脅迫、ジェノサイドで骨抜きにされるウイグル
  • 「臓器移植先進国」の背後にある闇を見ない日本のメディア
  • 中国や北朝鮮の人権弾圧には沈黙する「人権団体の欺瞞…
  • 「中国に毅然とノーと言える」「人権先進国日本」になぜなれないのか!

 と並ぶ。真偽は本書を読んで読者が判断することだが、「でっち上げ」と象徴する側からの説得的説明はないようだ。

 本書の定価は1200円(+税)。漫画だから読みやすい。全国の自治体教育委員会が副読本として購入し、人権学習の時間の予習・復習教材としてクラスで回し読みさせるべきだと思う。

 

顧問 喜多村悦史

2021年06月20日