怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記336 都議選、誰に入れよう?

この日曜日(74日)は都議選の投票日。

 常日頃、意中の人が決まり次第期日前投票に行くことにしている。だが、今回はグズグズしているうちに投票日が迫ってきた。投票机に立ってから、前に貼ってある候補者一覧表から、氏名のゴロのよさだけで決めるようなことはしたくない。

 郵便受けに選挙公報が投げ込まれていた。江東区では、定数4人に対して立候補8人。広報は「候補者から提出された原稿をそのまま製版したもの」とある。

投票箱の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

 大きな文字で100字も使わず、焦点を絞っているものもあれば、天眼鏡が必要な細かい活字で、細かく約束を並べ立てたものもある。どちらが効果的か。有権者の受け取り方次第だろう。

 選挙は民主主義の基本。でも、「帯に短し、襷(たすき)に長しの候補ばかりではどうする? 

 落語家の春風亭一之輔さんの実践が参考になる(「直球曲球『産経新聞』2021.7.7」。投票義務が一門の掟。「どの候補者も似たり寄ったりだし、信用できそうにない。誰を選んでも世の中変わらない」という弟子に対しては、「候補者の中でこいつだけは絶対に嫌だ」という人を決めて、絞って、「最後に残った一人に入れろ」と勧めているそうだ。ご本人もそうしているという。

 これはいい考えかもしれない。都議選の選挙公報掲載8人(AからH)を対象に実践してみた。その結果は以下になった。

①間近に迫った東京オリンピックを中止せよと主張する者二人がまず脱落。東京は開催都市。オリンピックには地震、津波という災害を乗り越える力があると訴えて、開催都市の権利を勝ち取ったのではなかったか。コロナごときで返上すれば、世界の人はどう受け取るか。そもそも最初から候補地に手を挙げるべきではなかった。日本人、日本政府は信用できないとの悪評を後世に残すだけではないか。後先考えず、目先の損得計算しかしない人に政治を任せてはいけない。ABに×印。

②バラマキで有権者に媚びる者も選外に。例えば「医療費無料化を高校3年生まで」。嬉しいけれど財源はどこに? 歴史的なバラマキであった昭和時代の「老人医療費無料化」を東京都は先導したが、金が足りなくなると政府に押し付けた。社会保障が政府の財政窮屈の主因になったきっかけである。Cにバツ印

③「高齢ドライバー安全運転装置に9割補助」も同じ。法律や条例で装置設置を義務づければ済む話。それに加えて補助金を出す必要がどこにある。自動車保険料を都が肩代わりする主張に等しい。なんでも行政に経済負担させればよいとの低次元で、とても公費の運営(予算議論)に口出しさせたくない人物だ。Dにバツ印。

③都民に「一律10万円の給付金支給」の公約者もアウト。東京都にある資産を活用してと、一応財源に触れているが、ほんとうにそのような余裕財源が東京都にあるのか。それにコロナでの疲弊は全国ベースの話。都民だけに給付金支給すればよいとの発想には、国民連帯精神を感じられない。政治家として、日本国民としても落第だろう。Eにバツ印。

④「消費税廃止」の公約、「都民税20%、事業所税50%減税」の公約候補も落としたい。減税には賛成だが、行政が機能しなくなっては困る。このように効率化して経費を減らすから減税できるのだとの代替政策が示されないのでは、言うだけの無責任。人間性すら疑われるから、政治を任せられない。FGにバツ印。

 ここまでで残り一人になった。これ以上検討すると「入れる人がいない」ことになるから、検討はここで打ち止め。

 今回の選挙公報は取っておこう。G候補がめでたく当選したとして、豹変して公約に書いてなかった①から④に手を染めれば、容赦なく友人、知人に違約ぶりを吹聴して歩くことになるだろう。これが民主主義社会の構成員(有権者)の義務である。

顧問 喜多村悦史

2021年07月05日