怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記345 100年で人口10倍増

人口回復はどの程度の速度で可能なのだろうか。次の文章に出会った。

「コロンブスの到来から400年たった19世紀の末、アメリカ合衆国にはわずか25万人の先住民しか残っていなかった。2000年現在彼らの人口は、約250万人まで回復してきている…。」(富田虎男、鵜月裕典、佐藤円編著『アメリカの歴史第2版』20頁、152頁)。

 この記述によれば100年間でちょうど10倍増。年率2.4%の人口増加率が間断なく100年持続すると、1.024 100=10.7150861であるから、10倍増が可能になる。これを達成するには、毎年の出生数はどのくらい必要か。

人口爆発 イラスト素材 - iStock

 総人口が1万人であったとする。2.4%の人口増とは、1年後に10,240人になっていることだ。ただし平均寿命を50歳とすると1年間に200人が死亡するから、この減を補う必要から、440人の出生数が必要である。

 子どもを産めるのは女性のみで、かつ出産適齢期は限られる。全女性の3分の1が該当するとすれば母数は1.667人。そのうち26.4%(約4分の1)が1年間に出産する(双子はないものとする)ことで440人の新生児を得ることになる。

 妊娠には間隔が必要なこと、妊娠しても死産に終わることがあること、妊娠しない・できない女性の存在があることなどを考慮に入れると、妊娠可能な状態の女性の過半が妊娠状態にあることになる。

 ということなのだが、上記書物の100年間で10倍増はあり得ないことではないようだ。

 日本社会の人口減を所与の前提とする議論ばかりだが、人口政策の観点では、増減両様の考えがあるはずだ。100年間で10倍増にする必要はないが、100年間で2倍程度は目標値としてあり得るのではないか。無論人口増加を可能にするには、エネルギー、水資源、食料など充足させるべき政策課題はたくさんある。そうした課題をいかに達成していくか。そうした前向きの考えが必要なのではないかと思われる。

 

顧問 喜多村悦史

2021年07月14日