
怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~
日本の国技は相撲。大相撲の名古屋場所が終わった。コロナで無観客だったはずが、いつの間にか大歓声に包まれるようになっている。相撲は国技だから観客がいても良いが、オリンピックでは外国人が多そうだから観客を入れない。まさかそんな狭小な考えではないだろうが。ボクは相撲を無看観客でやれというのではない。オリンピックに観客を入れろという意見である。
今場所の目玉は、ずっと休場を続けていて引退勧告だった白鳳が、いざ出てみればやはり強く、全勝で終えたこと。横綱の実力を示したものと言えるだろう。横綱とはかくあるべし。相撲取りの仕事は勝ち負け。休まず、遅れずに出場しても、負け続けたのでは意味がない。
横綱審議委員会の委員 |
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氏名 |
主な肩書 |
就任年月 |
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委員長 |
矢野 弘典 |
中日本高速道路顧問 |
2012年 7月 |
委員 |
勝野 義孝 |
弁護士 |
2013年 3月 |
委員 |
高村 正彦 |
政治家 |
2013年 3月 |
委員 |
杉田 亮毅 |
元日本経済新聞社社長 |
2013年 3月 |
委員 |
山内 昌之 |
東京大学名誉教授 |
2015年 3月 |
委員 |
都倉 俊一 |
日本音楽著作権協会会長 |
2015年 3月 |
委員 |
丹呉 泰健 |
日本たばこ産業会長 |
2019年 2月 |
委員 |
大島 宇一郎 |
中日新聞社社長 |
2020年 1月 |
勝南桜(しょうなんざくら)のいう序の口の力士は現在90連敗。入門以来の勝ち星はまだ3つという。勝率3.2%。めげずに続ける気力に感心するが、その頑張りを休場ばかりだが、出れば勝つ白鳳より立派と評価することはできない。
白鳳はやはり横綱なのだ。当人が引退すると言わない限り、その地位を保全される。それが横綱という地位である。
この白鳳と千秋楽で闘ったのが大関の照ノ富士。一度は大関だったが、ケガで序二段にまで番付を下げている。それから頑張り、地位を上げて来た。そして関脇だった今年の春場所、大関再昇進後の夏場所で優勝し、今場所で優勝または準優勝であれが横綱昇進という前評判だった。
そして前日まで14戦全勝。全勝同士で白鳳にぶつかったわけだ。全力でぶつかったが、白鳳に小手投げで敗れた。敗戦後「自分のできることを精一杯やった。これからもっとよくしていきたい」と語ったという。
その照ノ富士に対して横綱審議会は「欲綱昇進」の答申をしたという。ボクは熱心な相撲ファンではないが、国民の一人として国技を取り仕切る相撲協会に一言いいたい。照ノ富士の横綱昇進には反対だ。
今場所、白鳳が休場していたか、あるいは優勝戦線から脱落していれば、照ノ富士が準優勝であっても横綱昇進でよかっただろう。しかし、白鳳が優勝し、その白鳳に照ノ富士は負けた。前二場所の優勝場所では白鳳は休場している。つまり現時点で照ノ富士が白鳳と同格以上に強いという証明はされていない。横綱は並みはずれて強い力士に与えられる称号であり、「強い横綱とそれより弱い横綱の併存」は認められない。
照ノ富士はこれからもっと強くなりたいと言っているのだから、もうひと場所白鳳と戦わせ、打ち負かして「自分こそ最強」との自覚を持たせたところでの横綱推挙でいいではないか。相撲協会はつい数年前にも、稀勢の里を興行上の理由から横綱に無理やり引き上げ、ケガで引退に追い込んでしまった悪歴がある。
大関と違い、横綱は該当者がいなければいなくてもよい。ビジネス、興行が先に立つようなことで国技を貶めないでもらいたい。参考までにウィキペディアによると、横綱審議会のメンバーは次のようになっているとのことだ。「待った」をかけた委員はいたのだろうか。
顧問 喜多村悦史
2021年07月20日