怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記58 分断民族の国家度独立願望

太閤豊臣秀吉による朝鮮出兵を「事実無根のでっち上げ」ということはできない。証明する資料には事欠かない。同様に大陸や朝鮮半島から軍船が押し寄せた元寇も否定できない。あったことは否定できず、なかったことをあったとするのも反則だ。ウソも繰り返せば事実になるとの専制主義者のプロパガンダに踊らされてはならない。

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 日本モンゴル協会の事務局長を務めた方の話を聞いた。

史上最大の領土を持った帝国はと問われれば、日本人ならば間違いなくモンゴル帝国と答えるであろう。チンギス・ハンの一声で世界征服を開始したモンゴル軍団は、現在の中央アジア、イラン、ロシア、中国を版図とする空前の大領土を支配した。

適正規模を超えていた大帝国は瓦解する。今はモンゴル共和国という小国家である。その独立のいきさつだ。モンゴル民族は自分たちの国家を失い、かつての領域内各地の国家において少数民族として生きることを余儀なくされていた。そうした中、中国との緩衝地帯を必要としたソ連の傀儡国家として人民共和国が創設されたのだ。

講師によると、この国の学校歴史ではモンゴル帝国は存在しなかった。ロシアがその支配下にあった屈辱の史実をソ連当局が抹消したかったからという。ソ連崩壊によりモンゴル共和国が民主化され、生徒は初めて先祖のチンギス・ハンの偉業を知ることになり、民族の誇りを取り戻したという。ただしモンゴル共和国人口はわずか300万人、国外では東の中国領外蒙古だけで400万人のモンゴル族が暮らすが、中国政府によって伝来の生活様式を奪われている。

民族自決は国連憲章の象徴のはず。日本政府が立場を鮮明にするよう、協会として要請したところ、外務省担当者から、中国を刺激したくないと却下されたという。

顧問 喜多村悦史

2020年09月25日