怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記59 公務員は警察と消防だけの町

「事業は企業に委託し、直傭は警察と消防だけ」。その結果、格安の市民税で済み、治安や環境は他都市以上の水準を保っている。ジョージア州アトランタ市が近隣への市域拡大を計画したのに対し、大都市の辺境になることに意味あるかと、疑問を感じた対象区域住民が自分たちの市の設立に立ち上がったのがきっかけ。新自治体設立は住民投票で可能だが、州法は自治体の財政均衡を義務づける。住民サービス(支出)は固有収入の範囲内。地域経済が落ち込めば、それまでに蓄えた準備財源を切り崩すか、事務事業の切り捨てが必要で、違反自治体には州が介入、自治体解散命令もありうる。

サンディスプリングス (ジョージア州) - Wikipedia

サンディスプリングス (ジョージア州) - Wikipedia

アトランタ北隣の住民はサンディスプリング市を設立したが、行政基盤が整っていない。市民税を徴収しようにも課税の元になる住民や地域内産業の実態が正確に把握されていなかった。そこで最小限の分野を残し、残りを民間企業に丸投げすることにした。古くからの市並みに機構を整備し、所要の公務員を採用したのでは、財政バランス維持条件をクリアできないための苦肉の策だった。

ジョージア州のこの地域(フルトン郡)では、20057年にサンディスプリング市のほかに、ミルトン市、ジョンズクリーク市、チャタフーチーヒルズ市が設立され、いずれも行政事務を大胆に企業委託している。ただし内容は住民の意向や財政状況によってさまざまだ。例えばミルトン市では委託の範囲を、都市計画・公園・公共事業・情報管理分野に限定している。またサンディスプリング市でも、財政基盤が強化されると部長級以上の中枢幹部だけは市が直傭するようになっている。

「自治体も経営体であり、健全運営優先」がアメリカ型とすれば、「住民サービス(往々にしてばらまき福祉)優先、財政破綻してから簡素化を考える」が日本型か。

2020年09月26日