怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記71 オバマケアと国民皆保険

超大国アメリカの弱点とされる医療保障制度。現状を紹介しよう。

国民皆保険の日本とアメリカの違い

アメリカで公的医療保障は、高齢年金受給者など対象のメディケアと貧困層対象のメディケイド、それに退役軍人医療サービスで、約3分の1だけをカバーする。

雇用主が準備する伝統的な保険がある。企業が従業員への福利厚生として準備するもので、プランは玉石混交。企業がたっぷり保険料を負担し、給付面でも至れり尽くせりもあれば、保険料のほとんどを従業員に負担させる貧相なものもある。医療保険は求職者の会社選びのポイントの一つになっている。

雇用主に保険の準備がない場合、個人で民間医療保険に加入することになるが、家族に既往症があれば加入を拒否されるか、保険料が跳ね上がる。オバマケアでは、保険会社のそうした選別を許さず、また企業に従業員向けの保険準備を義務化した。だが、それを現実化するには、政府が加入者や保険会社に巨額の財政支援をせざるを得ない。共和党政権は、オバマケアは憲法が規定する連邦政府の権限を逸脱するなどの根本部分に疑義を呈している。

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アメリカには高額医療負担する無保険者が11%も

 さて以上のどの保障にも該当しないのが無保険者。3500万人(11%)ほどとされ、大病すれば家財産を手放すリスクを抱える層である。コロナなどで経済が失速すればその数も増大する。

 わが日本では国民皆保険という社会主義的医療政策が実施されており、今後も維持すべきというのが民意である。しかし生産年齢人口が先細り、高齢化が一層進む。制度に抜本的イノベーションを加えなければ、財政破綻することが確実視されている。ではどこにメスを入れるのか。時間的余裕はないのに、明確に語る政治家はいない。

顧問 喜多村悦史

2020年10月08日