怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記72 領土問題は千年かかっても筋を通せ

腹が膨れるロシアとの領土問題

腹が膨れるには、二つの意味がある。一つは文字どおり、いっぱい食べて満腹状態。二つは不満、不愉快な気持ちが充満すること。兼好法師はこちらの意味で使っている。

 菅(すが)総理がロシアのプーチン大統領と電話会談をした(9月29日)。「平和条約締結を含め、日露関係全体を発展させていきたい。北方領土問題を次の世代に先送りせず、終止符を打ちたい」と述べ、「北方領土の元島民による航空機を使った墓参の継続」を要請したという。会談は日本側が持ち掛けた20分間。通訳時間や遠距離ゆえのタイムロスを考えれば、これが主内容だろう。ロシアは時期を合わせ、北方領土で「敵による上陸阻止」などの軍事演習を開始した。領土を返さない意思表示である。

長引く領土問題に焦りは禁物

 この会談、ロシア外務省にとっては日本が膝を屈してきた証になり、鴨ネギのなべ料理で祝いたい気分だろう。大方の日本国民にとっては、領土を不法に奪われた上に頭を下げる不甲斐ない外交に、言葉が見つからない思いの者が多いのではないか。

 国家の基本にかかわる政策では拙速は禁物だ。ボクは『百年単位で考える社会保障』(社会保険研究所)を出したことがある。『社会保障改革の処方箋』(医薬経済者社)では制度改革案とそれをベースにした100年先までの財政見通しを示した。

「軍艦島(端島)の全景(超高解像度)」の写真

 内政に比べれば、国家存続事項では100年程度で片付かない問題が多々ある。例えば現在のイスラエルの建国は第二次世界大戦後だが、ユダヤ人の主張はここが彼らの故地だからである。紀元前722年に北半分、前586年に南半分を失って国家消滅した後、2500年余の離散流浪(ディアスポラ)を経てようやく会同した。

奪われた領土は取り戻す。それまで千年でも臥薪嘗胆を続けよう。そういうメッセージを語る政治家はいないものか。

顧問 喜多村悦史

2020年10月09日