
怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~
菅義偉新総理と中国習近平氏との電話協議が行われた(9月25日)報道に際して、日中間の「第5の政治文書」交換の可能性について取りざたされていた。なにそれ?
日本の要人の訪台や台湾首脳の来日に中国が文句をつけてくる根拠が、これら文書にあるらしい。例えば③では、「日本は台湾問題について改めて中国は一つであるとの認識を表明」となっており、日本は約束を破るのかと責められる。
約束を守るのは文明人の常識。ではあるが、文書はそれぞれの立場によって解釈が違うのも常識。認識が違う場合は、双方の解釈の合意点を探ることになる。一方の解釈が他方を無条件に拘束することはあり得ない。それができるのは裁判所だけ。
②では「いずれの地域においても覇権を求めるべきではない」としている。連日の中国公船による尖閣諸島海への侵入はこの約束に違反する。③では「いかなる形の核兵器の拡散にも反対」とあり、普通の言語感覚では、中国自身の核開発の中断・廃止を意味する。これらについて日本側はどういう指摘をしたのか。
文書は全体で意味を持つ。一つの条項を都合よくつまんでの相手批判をすべきではない。なお、国際司法裁判所の「南シナ海での中国の領有権は存在しない」との裁決を「自分に都合悪いから守る必要なし」と言い切るのが現在の中国政府である。4つの合意文書を中国は守っているのか。日本外務省の判断を国民は知らなければならない。
顧問 喜多村悦史
2020年10月12日