
怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~
わが居住自治体(東京都江東区)の広報誌の区民サービス欄を見る。目についたのが「禁煙外来治療費の一部助成事業を新規開始」のお知らせ。タバコの害はもはや否定しようがない。当人だけでなく、受動喫煙者の健康もむしばむ。
さらに経済負担だ。20本入り540円として毎日二箱を吸うと、月に3万2400円、年間38万8800円、生涯では1555万2000円(喫煙年数40年として)。加えてたまに服やカーペットを焦がす家計損失もあるだろう。やめるに越したことはない。(15年ほども前、秋篠宮家で菊のご紋章入りたばこを勧められたが、今は違うだろう)。
ただ習慣性になっている人は、やめるのに覚悟と努力が必要だ。そのために禁煙外来という治療がある。江東区はその費用を1万円限りで助成することにした。禁煙指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上であれば保険適用になる。習慣性になっている人はまず該当する。受療には3万円以上かかるが、保険適用で患者負担(3割相当額)は1万2千円から4千円に収まる。これから区の助成1万円を引けば、当人の実質負担は2千円から4千円。安いのか、高いのか。
ところで区が助成を始めることにしたのはなぜだろう。考えるに区民の健康を守り、返す刀でタバコのような百害無益なものに区民が無駄遣いをしないようにという善導の行政なのだろう。であれば治療を受ければ即費用助成というスキームはおかしい。区が目指すのは、喫煙習慣がある区民がそこから脱すること、すなわち喫煙しなくなることである。であれば喫煙習慣を脱した人に限っての成功報酬にすべきで、失敗した人への助成は不当支出であろう。また全国の自治体が本気で取り組むようになれば、健康保険の給付から外し、自治体の政策分野に改めるのがわかりやすい。
顧問 喜多村悦史
2020年10月14日