怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記83 栗農園に例えると

国法に基づく正当な所有権を有していても、その権利を行使せずにいると、無頼漢の占有者に所有権が移ってしまう。これが時効の効力である。国法が存在しない無法領域では、占有している事実関係が優先する。1011日から13日にかけて中国政府の艦船が尖閣の領海に39時間23分居座った。加藤勝信官房長官は厳重抗議したそうだが、中国外務省の報道官は「中国法に基づく法執行」と主張。この主張を理解できる日本人はいまい。だのに日本外務省(政府)の国民向け解説はなぜ出されない。

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 例えればこういうことであろうと、わかりやすい事例に即して推測する。先祖伝来のクリ農園を営むAさん。以前は畑の真ん中にある作業小屋に寝泊まりすることもあったが、近年は昼間に農園の手入れに行くだけで小屋には足を踏み入れない。「なんでだ。小屋の修復費用ならば出してやるぞ」と親戚は言うのだが、Aさんは回答しない。小屋で生活の足跡を残すことをなぜか極度に恐れているふうに見える。

 数年前からチンピラBがクリ農園の収穫物を勝手に持ち去る。畑にテントを張り、本格的だ。小屋のカギも壊された。しかしAさんは口の中でモゴモゴ言うだけで、面と向かった「出ていけ」と言わない。そのくせ親戚には「抗議している」と言う。

 Aさんの子どもがクリを拾いに行ったのが、真っ青になって逃げかえってきた。Bとその子分が荒縄を持って追いかけてきて、危うく捕まりそうになったという。「ここはお前の親が盗んだ土地だ。入り込めば子どもといえども容赦しないぞ」

 子どもがAさんに聞く。「Bの主張はでたらめだよね。ボクが親戚のおじさんや友だちの親に加勢を頼むから、Bを追い出しに行こうよ」。「いろいろあってそうはいかないのだ」とAさんが態度をあいまいにいしたら、親子の信頼関係はどうなりますか。

2020年10月20日