怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記86 iPS細胞で視力回復が可能に

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徐々に視力が失われ、失明に至る「網膜色素変性症」。4千から8千人に一人が発症し、国内では推定4万人の患者。神戸市立神戸アイセンターが、健康な人由来のiPS細胞を用いて視細胞の元になる細胞を作製し、そのシートを失明進行患者への網膜移植を世界初で実施。同病患者の視力回復の一歩を踏み出した。

 視覚は次のような作用になっている。外界からの光が角膜から瞳孔、水晶体、硝子(ガラス)体、網膜と進み、そこの視細胞で電気信号に変換される。これが視神経を通じて脳に伝達され、形や色を認識することになる。網膜色素変性症患者では、視細胞が徐々に死滅する。遺伝的要素が発症に関わるとされるが、よくわかっていない。薬で進行を遅らせるなどがこれまでの主な治療法。視細胞は一つの眼球に10億個。iPS細胞移植で視細胞を正常値近くに増殖することで、将来的に視力の完全回復が技術的に可能になる。今回の手術と治療の成果をベースに実施を積み重ねていくことになるのだろう。

 iPS細胞(人工多機能幹細胞)はそもそも日本発の技術。開発者の山中伸也先生は2012年にノーベル医学・生理学賞を受けている。この技術はさまざまな治療分野で実用化が進められており、各国が競っている。どの部位の再生医療であれ、技能面で先行し、最高水準との世評を獲得することで、名誉とともに実益につながる。世界中から患者が集まるはず。メディカル・ツーリズムが現実になるからだ。

 iPS技術応用開発は、宇宙探査や海洋開発並みの国家プロジェクトのはず。国費を集中投下すべきだが、日本の国庫は空っぽ。であれば医療保険財源を戦略投入(例えば無利子提供)すべきだ。見返りは外国人患者からの高額治療費確保という錬金術に加えて、皆保険の日本国民には医療保険で安価にこの先端治療を提供することである。

顧問 喜多村悦史

2020年10月23日