怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記97 大阪“都”構想に代わる構想

大阪都構想、賛成派と反対派に二分

 自分たちの街をどのように運営するか。大阪市で住民投票が行われ、僅差(49.6%対50.4%)で現状維持派が勝利した。否定された改革構想とは、大阪市を解体し、基礎自治体としての4つの区に再編するというものだった。

 賛成派が二重行政の弊害打破を主張すれば、反対派は行政機構改革でかえってコスト高になるなどと反論。市民は「面倒なことは今はやめておこう」と思った印象だ。

 大阪“都”で想起するのは東京“都”である。東京都は特別区と称される23区と道府県と同様の市町村(多摩地区及び島嶼部と称される)から構成される。

このうち特別区は普通の市町村とどう違うのか。かつての23区は都の出先事務所の色彩が強く、区長も都からの派遣であった。当然、区議会なるものは存在しなかった。

 今の23区は限りなく市に近く、英語表記では“CITY”と明記するなどしている。これに至るには住民自治とはなにかについての地道で粘り強い議論があったはずだ。 

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大阪府は都構想より先に財政自立するべきでは

 ところで自治での基本は財政自立。東京都(23区を含む)は地方交付税を受け取っていない。この点、大阪府も大阪市も受け取っており、自立できていない。大阪を東京並みに繁栄させたいのであれば、まずこの点でのビジョンを競うべきではなかったか。

国からの財政支援を前提にしての行政機構いじりでは共感を産まないし、無益である。

 地方交付税という財源の基本を議論すべきなのだ。所得や消費は都市に集中するからそれらを源泉とする税収をいわゆる田舎に公平配分するのが地方交付税。大都市が交付を受けること自体が異常と考えるべきなのだ。

国にも責任がある。国家財政の破綻回避のため、巨大都市(政令指定都市)とそれを管内に抱える府県への交付税を年次計画で廃止する方針を示して自治体の財政自立への奮起を促すべきなのだ。

顧問 喜多村悦史

 

2020年11月04日