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怒苦打身日記⑱  無言館

長野県上田市所在の美術館に行ってきた。館の名称は“無言館”。

先の戦争で亡くなった画家の卵たちの遺作絵画を展示している。

きっかけは家内。ボランティア活動で参加している朗読会で、

テレビ局の元アナウンサーから紹介されたとかで、

「あなたも見なさい」と現地までのドライブを付き合わされた。

Mugonkan entrance.jpg無言館 wikipediaより転載

 コンクリートむき出し、巨大な棺の中を想像させる館内は静寂に包まれている。参観者は僕たちのほかに10人ほどもいたが、みな無言。

作者が故人であるための”無言館“であると同時に、訪れる人がだれも言葉を発することがない”無言館“なのか。

 

 館のオープンは平成9年(1997年)。

戦後50年経過後である。戦後の日本人は戦争のことを意識から遠ざけ、物やカネを追い求めるだけの日々だった。

「自分の生きた足もとの暦や、自分を育ててくれた父母たちの苦労をふりかえることなどめったになかった」と開設館長の窪島誠一郎さんが著作(『無言館-戦没学生たちの青春』河出文庫)で述懐しているが、国民の共通項であっただろう。

 

その窪島さんが思うところあって、紙一枚が入っただけの白木の箱で帰還した英霊が実家に残していた遺作を集める全国行脚を始める。

そして私的な美術館として展示にこぎつけたのだ。

 

 鑑賞の感想は人さまざまだろう。

ボクは、絵画そのものよりも、遺作を大事に保管していた遺族の心情に心打たれた。しかし個別の家族による保管には限度がある。収集が間に合わず、散逸したものが少なくないだろう。

それにしても、どこで、いつ、戦死したのかも定かではないというのは国家として、国民の心情への寄り添いが足りないのではないか。

戦争、特に落命者の記録は完全でなければならない、遺品は映像でもよいから保存すべきだとの思いを新たにした。

 

喜多村悦史

 

2020年08月21日

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