怒苦打身日記 ~協会顧問 喜多村悦史のブログ~

怒苦打身日記㊱ 政府と多国籍企業

企業に対する政府の対応には二つのタイプがある。

一つは重商主義(統制主義)であり、

もう一つは立憲主義である(ドラッカー『マネジメント』日経BP社)。

 

同書の説明では、

①「重商主義モデルにおいては、経済は政治支配力、とりわけ国の軍事力の土台とされ、国の経済と主権は重なり合う」。現代では共産党支配の国において典型的であり、政府役人は企業人の上位に位置し、企業の活動を奨励、支援、強化すること、とりわけ輸出を奨励、支援することを使命とする。政府資金の国際競争力を高めるための補助金、助成金支給を積極的に行う。

これに対し、

②「立憲主義モデルは、19世紀に主としてアメリカで発展した。このモデルでは、政府は基本的に企業と対立関係にあるとされる。両者の関係は、行政ではなく法律によってコントロールされ、一定の距離が保たれる」。企業の自由放任を許さない点では重要主義と同じだが、「重商主義が企業を導き、補助金を出すのに対し、立憲主義は起業にさまざまな縛りをかけ、反トラスト法、規制、刑事告発などの手段」によって、事業の事業活動に政治倫理上のしばりをかける。

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 だが戦後増殖している多国籍企業では両モデルとも有効性を失う。重商主義国の企業も現地政府の規制に従わざるを得ない。立憲主義国の企業は本国政府の規制をかいくぐることができる。政治権力に国境内にとどまるのに対し、企業活動が世界規模になったからだが、先進国は新しい折り合いを見つけられずにいる。

中国共産党は新手法を展開している。外国での事業活動においても母国中国政府の意向を踏まえることを強制し、現地国政府にも圧力をかけての除外措置を認めさせる。この身勝手にアメリカは怒っているのだが、日本政府及び日本人は目覚めないでいる。

2020年09月07日